大陸魔戦記 36
「織物商とは名ばかりの、策に飢える獣め。謀をもって名と財を成しながら、それを憚るどころか誇っているというではないか。それでいて自らは動かず、常に小物を使い捨てるのであろう? ”リオーネに潜む毒蛇”とはよく言ったものよな」
その熾烈な罵りに、彼らは笑みすら浮かべてこう言ってみせる。
「有難き御言葉、感謝の念に耐えませぬ」
「それでこそ私たちの苦労も報われるというものですわ」
彼らの猿芝居は、絶対的な優位にある余裕を表しているのだ。
それが分からぬほどに、セリーヌは愚かではない。
妙な薬品を嗅がされて、気を失い、気がつけばここにいた。
ここがどこかすら、分からない。
「戯れるのも、いい加減にせぬか」
不安からくる震えを押し隠すように、皇女は声高に叫ぶのだけれども。
その皇女の怒りもどこ吹く風、優雅とも言える動作をもて、男は一礼する。
「いえいえ、我らにとっては褒め言葉でございますのでな…おい、なにやってる。さっさとしろってんだよ」
生来の下品さを隠そうともせずに、苛立ったディリズが命じると、いずこに潜んでいたのであろうか、暗闇の中からすぅ、と男たちが現れる。
彼らは、セリーヌの体を地下室中央に設置されたベッドに連れて行く。
「さて」
「…何を、するつもりか」
「姫御前におかれましては、ご機嫌斜めのご様子。では、一つ、面白い余興をお見せいたしましょう」
「…あん、ないの、ないのぉっ。あはぁ、オマ○コの中に、チ、チ○ポチ○ポぉ、ふっといチ○ポ様が挿ってないのぉっ! だ、だから挿れてぇ、ねぇ、早くぅ。誰でもいいからぁっ、ズポズポって掻き回してぇっ!」
男たちに連れてこられたのは、先ほど兄妹が苛めていた少女。もはや理性もなく、ただ快楽を求めて、獣のように鳴いては、腕をつかむ男たちの股間を弄る。
「なんと…」
性の知識に疎い皇女ですら、少女が何を求めて鳴いているのかぐらいは分かる。
されど、免疫のないものにとってみれば、その痴態は信じられぬ物。
されど、さればこそ、目が離せない。
そんなセリーヌの様子を鼻で笑いつつ、ディリズは己の奴隷を見やる。
「へっ、すっかり出来上がってらぁ」
「当然ですわ、原液を塗って差し上げたのですから。もう交尾の事しか頭にありませんわ」
「それじゃ壊れちまうだろうが。まぁ捨てるつもりだったし、好都合か」