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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 32

「だ、大丈夫です。まだほんの数分前…」
と、水の流れる音が唐突に止む。そしてそこから間を置かず、浴室の扉が開かれる。
「…済まんが、どちらかタオル、を…」
そこから顔を出したセリーヌと、偶然にも目があってしまう。
セリーヌもアグネスと同様、美しい肢体である。違う所といえば、全体的に丸みを帯びている所と、実は胸がアグネスのそれより一回り大きい事であろうか。
その彼女の美しい肢体が水に濡れているさまは、かなり扇情的。普通の男であるならば、迷わず飛びかかっているであろう。
しかし、半ば恐慌状態に陥っているジルドからしてみれば。
「…失礼しました!」
まさに目に毒。短く一言だけ言うと、ジルドは足早に部屋の奥へと消えてしまう。
「……あれは、女に弱いとみた」
「…同感です」


 一等を謳うだけに、部屋は幾層にも連なり、浴室だけでなく、書斎や化粧室、果ては侍従用と思われる個室まで付随している。
 それらの小室に逃げ込もうか、そういった考えがジルドの頭に浮かばぬでもなかったが、目的が姫御前の護衛である以上、小室に引き篭もるわけにも行かぬ。
 結果、寝室につながるリビングの前を、所在なく彷徨う羽目になる。

「いい湯であった。卿も入ればよかろう」

 そういって薄着のみを纏って現れたのは、セリーヌ姫。
 湯上がりの湿った金の髪が、露になった鎖骨に艶かしく張り付いている。
 常ならば身にまとう鎧ゆえに拝めぬ、その艶やかなる肢体。その、成熟しきらぬものの女らしく丸みを帯びた線が、薄着に沿って走る。
「これは、姫様」
 その姿に、先ほどの遭遇を思い出して、ジルドは赤く俯いた。
 幼きころより、侍従らに身の回りの手伝いをさせてきたセリーヌにとって見れば、自らの裸を見られることに、それほどの躊躇はない。また、薄着とはいえ、その内側までが透けて見えるというほどのものでもなかったが。
「な、何を赤くなっておる…」
 やはりそこはうら若き乙女。ジルドの初々しいとも言える反応をみて、恥ずかしく頬を染めてしまう。

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