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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 31

「無論、ジルド殿も納得してくれますな?何せ、リオーネの黒い噂についてはよぉく知られているようですから」
「い、いや…無論、それは、そ、そうだが…」
美女二人に見つめられ、しどろもどろになってしまうジルド。オークの大軍を相手に立ち回っていた時の凛々しさとは、まるで正反対である。
「そ…そもそも、同じ部屋で、好き合っているわけでもない異性同士が夜を明かすというのは…」
そんな中、よく回らない頭を働かせ、何とか反論の言葉をしぼりだすジルドではあったが。
「ん?姫様の命と一般的価値観を秤にかけるのか?」
当然のごとく一蹴されてしまう。
「…何をそんなにうろたえておるのだ?別に取って食うわけでもあるまいに」
セリーヌにまで言われてしまい、もはや彼に逃げ道はない。
「……御一緒させていただきます…」
それだけ言ってうなだれる。そこに、数多の異名を持ち怖れられる剣士としての顔は、欠片も残されてはいなかった。



水の流れる音が微かに響く。まずはセリーヌが、長旅による様々な汚れを洗い流しているのだ。
アグネスは部屋の片隅で、手早く甲冑を脱ぎ捨てている。そしてジルドは、浴室の扉に控え、静かに目を閉じていた。
傍目には、彼が瞑想の最中にあると思うだろう。しかしその実、彼の心中は荒れに荒れている。
(……男一人と、女二人が、同じ部屋の中…)
戦いの中においても心の均衡を崩さないジルドの心を乱すのは、他ならぬセリーヌとアグネス。
(…正直、このような状況は初めてだ、相棒)
傍らに置いた巨剣に目をやり、嘆息する。その目は、戦いの際に見せる武神のそれでも、普段においての静かな意志の強さを秘めたそれでもない。
明らかに、あまりの都合の良さに戸惑うものだった。
(…何故、俺はこのような状況に置かれているんだ…)
どれほど考えたかもわからない事を再び考えてしまい、息をついていると。
「ジルド殿、代わろうか?」
いつの間にか歩み寄っていたアグネスが、ジルドに声をかける。
「いや、まだ幾ら、も…」
言いながら顔をそちらに向けた所で、彼は絶句してしまった。
甲冑を着込んでいたときはわからなかったが、脱いでみると意外に優れた容姿である。全体的に筋肉質ながらも、それは女らしさを妨げる程のものではない。それどころか、程良く膨らんだ乳房やくびれた腰など、女としての魅力は十二分に備えている。
その彼女が、薄着で目の前に立っている。目のやり場に困ったジルドは、慌てて明後日の方向を向いてしまう。

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