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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 24

「…聞いておらぬのか」
咎めるような口調に、ジルドははっと振り返る。
「…失礼、少し考え事をしていたもので」
「リオーネの事か?」
「はい」
ジルドは頷き、自身の懸念を口にする。
「リオーネには最近、黒い噂を聞きます。不穏な、とまではいきませんが」
それを聞き、うなだれていたアグネスは顔を上げ、セリーヌと顔を見合わせる。
「…黒い噂、とは?」
セリーヌが聞き返すとジルドは視線を夕陽に戻し、言葉を選んだ。
「…確証に欠けます故、まだお耳に入れない方がよろしいかと」
「…そうか…しかしいずれにせよ、リオーネに行く事は変わらん。一刻も早く兵達の傷を癒さねばならんからな」
セリーヌは、決意の表情でそう告げる。
それにならい、アグネスは背後の兵達に向かって高らかに告げる。
「我らはこれよりリオーネに向かう。続け!」
その声を聞きながら、ジルドはすうっと目を細めた。
(……やはり、どこかに”目”がある)
気取られないようにしながら、背後に連なる気配の中を探る。
(…だめだ、見つからない。しかし…まだ気にする程ではないか)

探索を諦めたジルドは、歩く度にずり落ちていく巨剣の鞘を背負い直す。同時に振り返り、夕陽を見つめる姫君を盗み見た。
(まずは…彼女を守る事に専念せねば。全ては、それからだ)




リオーネ。
リューンブルクには及ばぬものの、かなりの活気に満ちた都市。幾つもの街道が交差する地につくられたその町は多くの行商人で賑わい、活気に満ちている。
日も沈み、数多の星が煌めき始めた頃、セリーヌ達はそこにたどり着いた。

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