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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 154

「それは俺の台詞だ。いきなり裸で擦り寄って、ズボンを脱がせようとするなんて」
しかし、ジルドの反撃が彼女の顔を驚愕に変える。アグネスは肩をすくめた彼が告げた事実に、一瞬の後たじろいだ。
「そ、そんな事を私がしていたというのか?冗談ならよせっ」
「していた。人は寝ぼけていると何をするかわからんものだぞ?」
「……そう、なのか」
黙り込むアグネス。半ば放心状態の彼女を横目に、ジルドはベッドのふちに腰掛ける。そして、ちらりと彼女に目をやった後、急に頬を赤らめてシーツを突き出した。
「じきにセリーヌが浴室から出てくる。それまでこれで体を隠していてくれ」
黙って受け取るアグネス。それを確かめ、ジルドはソファに移動してアグネスを直視しないようにした。
「……でないと朝から襲いかかってしまいそうだ」
ぽろりとこぼれた本音。彼の小さな葛藤を示す言葉に、アグネスは我に返った。
それから数拍して、彼女の口元に小悪魔めいた笑みが浮かぶ。続いてぺろりと、舌が淡色の唇を濡らす。
「そうなのか」
静かな音を立てつつ、ベッドから立ち上がった。緩慢な動作でジルドに近付いていく。

そして。

刹那、猫を思わせるしなやかさでジルドに飛びかかり、その背中にしがみついた。不覚にも不意をつかれてしまったジルドは、泡を食った表情で肩越しに振り返る。
「なっ、何をするんだアグネス!」
「愚問だな」
軽いキス。ついでにジルドの唇を舌でなぞると、アグネスはさも当然であるかのように彼の膝の上に腰を下ろした。
「醜態を見せてしまったんだ。ならば開き直って、朝から貪ってやる」
気がつくと彼女の手は両方ともジルドの足の付け根に乗せられ、さわさわと怪しい動きでズボンをまさぐっている。どう見ても脱がせる気のようだ。彼を逃がさないようにしつつも、ちゃっかり股間の辺りは脱がせられるような座り方をしている事からもわかる。
「こ、こら、やめろっ。昼には領主館に行かなきゃならんのにっ」
「つれないことを言うな……私の肌を白日の下、舐めるように見つめ、その脳裏に焼き付けるまたとない機会だぞ?」
「自分で言ってどうする、って待て!脱ぐな、脱がすな!日中はやらんと言ってるだろう!」
アグネスはジルドの服を剥こうと。
ジルドはアグネスの体を離そうと。
互いに組み合い絡み合い、気付けば素肌は晒されて。それでもなお二人は、半ば必死で揉み合う。

「なんじゃ、朝から揃って盛んよのぅ」

冷やかしの台詞を投げ付けられるまで。
刹那、二人はばっと離れ、浴室の扉に目を向ける。そこには薄布一枚纏うのみのセリーヌの姿。彼女はいかにも面白いものを見たかのごとき笑みを浮かべ、悠々と自分の荷物に向かう。
「しかも我がいない隙にというのがまたなんとも」

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