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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 15

「…いや」
しかしセリーヌはそれだけ言うと、自身も腰に帯びた剣を引き抜く。
「いずれにせよ、ここで囲みを破らねばならない。だが長引けば援軍を呼ばれ、疲弊する事は必至。よしんば抜けたとしても、追いつかれるのが関の山。ならば…」
もやの向こうで、獣人達が動き始める。此方へ向かってきているようだ。
「一刻も早く囲みを破り、一人でも多く生き残る。それしか、あるまい」
決意の目で動き出した獣人の群れを睨みつける、若き姫君。その目が一時閉じられ、今もなお自身の背中を守って戦っているであろう者達に、思いを馳せた。
(許せよ……アグネス)
その目が再び開かれた時、そこには既に”姫君”としての顔はない。あるのは、ただ一人の”戦士”としてのそれだった。
「兵士達よ!我に続け!」
言うが早いか、セリーヌは駆け出す。凄まじい気迫で、追いかけるように続いていく兵士達。その勢いにオーク達は怯みかけるが、ふとその中の一人があるものを見つけ、指差す。
その先にいたのは、先陣をきって此方に向かう一人の戦士。甲冑に身を包んではいるが、風にたなびく長髪や所々に見受けられる白い肌からして、女であるのは明らかである。

獲物が自らやってきた―――。
そう思ったオーク達は下卑た笑いを浮かべ、次々とセリーヌに殺到する。
それにいち早く気付いた守護剣士達がセリーヌの前に出るが、如何せん数が多すぎる。最初こそセリーヌを守って剣を振るってはいたものの、次第に数で押し切られ、セリーヌから引き離されてしまう。
セリーヌ自身も果敢に剣を振るい、幾多ものオークを切り払ってはいたが、あまり戦慣れしていないせいか、前に注意を払いすぎた。
不意に腕を掴まれ、とっさに振り返る。そこには二、三程のオークが、息を荒げて舌なめずりをしていた。
「ひ、姫様!」
兵士達がセリーヌを助けようとするが、無数のオークが壁となり、近づくことさえかなわない。
(しまった―――!)

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