PiPi's World 投稿小説

大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 127
 129
の最後へ

大陸魔戦記 129

続いてセリーヌは、アグネスに続いて扉の向こうに目をやるなり、驚きの表情でジルドに目を向ける。こちらも言葉が出ないようで、口はぽっかりと開いたままだ。
そしてジルドは、ため息を一つつくと巨漢を引きずって二人の脇を通り過ぎ、再びため息をついた。

部屋の中央に、盗賊らしき格好の男達が集まっていた。
――否、集められたと言うべきか。
彼らは縄で縛られた様子もないのに、互いに背中を突き合わせて床にべったりと座ったまま、じたばたともがいている。
加えて、口をぱくぱくしていながら、声や音が全く発せられていない。

全くもってわけのわからないこの状況。それへの答えを求め、セリーヌとアグネスは一斉にジルドに疑問の目を投げかける。

「…本当に、何があった?」

言葉を発したのは、セリーヌ。彼女はアグネスに手を掴まれたまま、疑問の言葉も投げかける。

「…できれば、気付かれないうちに済ませたかったんだがな」

それに対し、ジルドはため息の後に呟く。そして、ずっと掴んでいた巨漢を無造作に投げた。巨漢は容易く宙を舞いながら、何故か動けない男達に向かって落ちていくのだが――

「「…あっ」」

二人は声を上げる。
巨漢が男達にぶつかると思われた瞬間、その体がくるりと回り、男達の間にはまるようにすとんと腰から落ちたのだ。

「…見つかった以上は、言わなくてはな」

驚く二人をちらりと見てから、ジルドはやはりばつが悪そうな表情で口を開いた。

「こいつはレグスの手引きだ」
「なっ!」
「レグスだとっ?」

あっさりと告げられた事実に、二人は信じられないといった態度をとった。するとジルドはため息をつきながら、「よく見てみろ」と言って指を指す。


――そこには、確かにいた。
噴水広場でジルドにわざわざ絡んできながら、ジルドが少し威嚇しただけで腰を抜かした男――レグスが。

「…御本人様がいる事が、何よりの証拠だ」

確かに、何よりの証拠である。しかし、セリーヌは何故か解せない。
闇討ちなどは、かなり卑怯な手である。それを使う以上は、後々後ろ指をさされないようにするために、けしかけた本人は参加しないのが常であるはず。それなのに、ジルドの言う「けしかけた本人」――レグスは、自らも参加している。
仮にレグスが首謀者だとするならば、何故わざわざ気付かれるリスクを背負うのであろうか。
その疑問を、セリーヌはジルドにぶつけてみた。――するとジルドは。

「前回の襲撃の時も、こいつは一団に混ざって俺に向かってきた。どうやら、自分の気に障った奴は自分も殴りたい、という気性らしい」

うんざりした様子で、ため息まじりに呟いた。

「な、なるほど…」
「…そうなのか…」

そのあまりにも短絡的でわかりやすい理由に、二人はただ頷くしかない。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す