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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 127

「それだけで奇妙と言うならば、二人して体を合わせた事はどうなる?それこそ有り得んだろう」
「…考えてみれば、そうですね」

――そんな事を言い合ううちに、互いの顔に笑みが浮かんでくる。

「…誠に、不思議だ」
「はい、本当に…不思議です」

水音。
体中泡まみれになったセリーヌが、桶に汲んだ湯を体に浴びせた。泡が湯とともに体を伝い落ち、床の上を流れていく。

「…話は変わるが」

粗方泡を落とし終えたセリーヌが、不意に目をアグネスに向けた。彼女が首を傾げていると、翡翠の光が紺碧の瞳を真っ直ぐ射抜く。

「…先程私をここに連れて来る時、『二人きりでまた話がしたい』と言うておったな」
「はい、言いましたが?」
「なら話が早い」

セリーヌはずいっ、とアグネスに顔を寄せる。

「…一体、どんな話だ」
「ああ、それはですね…」

翡翠の視線を、アグネスはしっかりと受け止める。彼女は、含みのある笑みを浮かべると、片目をぱちりと閉じた。


「…ジルドを困らせる為の「ひ、ひぃぃっ!!」っ!」

突然の悲鳴とともに、扉が乱暴に開かれる。とっさにアグネスは浴槽から飛び出し、真剣な表情で身構えると――

「…ふんっ!」

水で床が濡れているにもかかわらず、開かれた扉から姿を現した巨漢に向かって正拳突きを決めた。
拳が相手の腹部にめり込み、巨漢はひしゃげた声を上げながら昏倒する。

「…ジルド!何が起こった!」

踏み込んだ勢いでその巨漢を浴室から押し出しながら、アグネスは強くはっきりとした口調で問いかける。
その一連の動作は、彼女が入浴の最中であった事を忘れてしまう程の速さであった。セリーヌは、その速さに唖然としてしまうのだが。

「セリーヌ、私から離れないでくださいっ」

濡れた髪を振り乱しながら振り返ったアグネスに、強い口調で呼びかけられ、はっと我に返った。慌てて桶を置くと、そそくさとアグネスの元に向かう。
それを見たアグネスは、向かってくるセリーヌに、タオルのような物を差し出す。

「これを着てくださいっ」

言ってから、アグネスはセリーヌに渡したばかりの物と同じ物を手に取る。
彼女はそれをさっと広げ、手早く身に纏った。それを見てセリーヌはようやく、渡された物がバスローブであった事に気付く。すぐに彼女も、袖に手を通す。

「全く……ジルド!どこにいる!」

呼びかけても姿を現さない彼に苛立つのか、やや棘のついた口調で声を上げるアグネス。その表情は険しく、同時に僅かばかりの不安も醸し出している。

「ジルド!」「聞こえているっ」

間髪入れず、更に呼びかけようと声を上げるアグネス。しかしその声は、はっきりとした声に遮られた。

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