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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 13





「敵は敵、味方は味方。いずれ裏切る心配があるのならそれ相応の対策を練るまでのこと。至極簡単な事ですのに、彼奴らの問答ときたら…」
「”巨剣”の真意を確かめたかったんじゃないの?」
「ちょっと貴方。まさかあんな事で確かめられると思って?」
「人間ってのは白黒つけたがるんだよ。灰色ってのが嫌いなのさ」
 男と、女将軍の死闘。そして、和解。
 それを、傍の廃屋から眺めていた褐色の影が、二つ。
「何? 認めなくないからといって無い物とするのですか? 嗚呼! なんて愚かなんでしょう。もうそれだけで滅するに値する種族だと思いません?」
 彼らの側頭部から生える、対となった長き耳。銀の髪に覆われたその褐色の耳が、愚痴を言うたびにぴくり、ぴくりと震える様に、黒き髪をした方が肩をすくめた。
「もういいからさ」
「よくありませんわ」
 投げやりな黒髪を、銀髪がキッと睨む。
「偽善者面してわたくし達の先祖をエルフの森から追いやったあの者たちへの怒りに震えるわたくしを、よりによって何ですか貴方は。『もういいからさ』!? いいですかバラッティ、貴方は闇エルフの一員であるという心構えが…」
 もはや論点がずれている事に、ため息をつきながらも、バラッティと呼ばれたダークエルフは、男とアグネスの方を指差した。
「っていうか、聞こえちゃうよ?」
「む…」
 その台詞に、流石の怒りも収まったようで、不貞腐れたかのように頬を膨らませた。
「シャンティ、愚痴るのは帰ってから。な?」
「そんなこと、貴方に言われなくても分かってましてよ」
「へいへい」
 分かってないだろ、とは言わない当たり、バラッティもシャンティの扱い方に慣れている。そんな二人に、一匹の蝙蝠が舞い降りる。
「お」
 バラッティが右手を上げると、蝙蝠はその腕にぶら下がる。
「どうする? 皇太子サマに送っといた使い魔、帰ってきたんだけど」
「そんなものは、帰ってきてませんよ」
 相棒の不可解な台詞に、バラッティは首を傾げる
「は? いやそんなこと言ったって使い魔くんは現にこうしているわけで。なぁ使い魔くん?」
「その親バカっぷり、いい加減になさい」
「ちょっと。使い魔にクンづけしたって罰はあたらんだろ」
「ああっ、もういいですわよ、それは。貴方の使い魔ですし。わたくしが言いたいのは」
 愚ともつかぬ問答に、今度はシャンティの方がため息をつく。
「我らが皇太子どのは慎重なお方。”破壊の巨剣”が現れたと知れば、様子見と仰るでしょう」

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