PiPi's World 投稿小説

大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 113
 115
の最後へ

大陸魔戦記 115

「セリーヌは…サイズを見たか?少しキツいと思うぞ。アグネスは…その色合いだと髪に合わないな。もっとしっかりした色の方がいい」

真顔で指摘すると、二人は感心したような表情で服を戻す。それから、別の服をあれこれと物色して、唸り始めた。

「……」

ジルドはそんな二人の様子を見ながら、その場に腕を組んで立ち止まる。そして時折、様々な服を持ってやってくる二人に、再びあれこれとアドバイスを与えていく。

――ちなみに、ジルド達がいるのは、トルピアで最も大きな、女性用の服飾店。そこは男の場合、いるだけで奇異ともとれる目を向けられるような所である。
そしてジルドは、いつもの旅装束に背中には巨大な愛剣という、あからさまに場違いな格好。必然的に、彼に向けられるのは奇異の目である。

しかしジルドは顔色を全く変える事なく、セリーヌとアグネスが服を選ぶのを待っている。


――何故ならば、これはこの先の指針に関わる事だからだ。


明け方に愛を誓った二人に向けて、ジルドはある提案を持ちかけた。
それは、ここにしばらく止まり、慣れない事ばかりですり減った心を癒やす――すなわち「滞在」というもの。
一悶着あると思われたが、ジルドの予想に反し二人は案外すんなりと提案を受け入れた。そして一行はトルピアに数日滞在する事となったのだが――

そこで、一つの問題が生じた。
セリーヌとアグネスの、服である。

彼女らはこの数日間、薄絹の上に甲冑を着込むという色気のない格好だった。仕方ないと言えばそれまでだが、トルピアにしばらく滞在すると決めた以上、そのような格好はできない。
それに、アグネスはともかく、セリーヌは姫という立場上、身だしなみに気を遣う。その彼女が甲冑では、ストレスもたまる。
それをいつの間にか読み取っていたジルドは、これから必要なものを調達するという名目で、二人を服飾店に連れてきたのだ。

――その結果は上々。

最初こそ戸惑いを隠せずにいた二人だったが、ジルドに「君達に必要なものだから、何着か買ってあげよう」と言われ、表情が一変。嬉々として服を選び始めた。


――そして今に至るわけだが。


「…ジルド、これならどうだ?」
「…に、似合うだろうか、ジルド」

こうやって『買う』服を選ぶのは、二人とも初めて。加えて、あれもこれもと買うことはできない。
よって二人は、着た姿を見る事になるジルドに、似合う服を吟味してもらっている――という事なのだ。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す