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大陸魔戦記
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大陸魔戦記 109

脱ぎ散らかした服の中から自分の服を見つけだし、浴室に向かう。
扉の脇に服を置いて浴室に入ると、彼は真っ先に蛇口をひねり、冷水を浴びた。

浴室に響く水音。
肌の上を滑り落ちていく水。

普段ならそれは、心を落ち着かせる心地よい刺激。しかし今のジルドの心は、その程度では収まらない程の深い後悔に苛まれていた。

(…あそこまでやる必要はなかったのに…)

彼は、二人に散々性の悦楽を味わわせた自らを責めた。

(…もう少し自制心が強ければ…)

恥じる度、責める度、苛む度。ジルドは心を晴らすばかりか、ますます曇らせていく。それこそ、今にも涙の雨を降らせそうな程に。

(……まずは、謝るしかない)

ふと、泥沼に陥りそうな自分に気づいたジルドは、己の行為について考えるのを一度止める事にした。
自分だけであれこれと反省点を挙げても埒があかない。まずは、二人と話をしてから――そう思う事にしたのだ。

冷水を止める。備え付けてあったタオルで体を拭き、浴室を後にする。
とりあえず衣服を身につけようとしたが――

「…あ」

替えの下着を忘れていた事に気がついた。
腰にタオルを巻き付け、慌てて自分の革袋をまさぐる。

――あった。
替えの下着が、一組。さっとそれを身につけ、すぐに普段の旅装束を身に纏う。


「ジルド?」


不意に、背後から声。いつもの出で立ちに戻ったジルドは、肩越しに振り返る。

「…起きるのが早いな」

少し眠そうに目を細めながら、アグネスが上体を起こす。一糸纏わぬその姿が微かに日差しを受け、豊かな乳房がぷるんと揺れる。
その揺れ方が、昨日の獣じみた情交を思い出させるような気がして、ジルドは慌てて目を戻す。

「…もう少し寝た方がいい」

動揺を隠すために、一言。
しかしアグネスは。

「いや…起きるにはちょうどいい時間だ」

そう言って、隣で寝入るセリーヌに目を向けた。

「……ジル…ドォ…」

ちょうどその時、セリーヌの口から小さく、ジルドを呼ぶ声が漏れた。
アグネスの顔から思わず笑みがこぼれ、ジルドはどこかこわばった無表情に、微かな照れが露わになる。


「……もっと…突いてぇ…」


顔を引きつらせ、耳まで真っ赤に染まるジルド。アグネスも目を見開いた後、やれやれと肩をすくめる。

「…どうやら夢の中では、未だにジルドと愛し合っているようで……ジルド?」

言いながら向けた視線の先に、先程までいたはずの男がいない。不思議に思ったアグネスは寝台から立ち上がり、首を傾げながら数歩進んだ。


――原因判明。


彼は、いつの間にか部屋の隅で体を丸め、暗い雰囲気を漂わせながら頭を抱えていた。

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