大陸魔戦記 108
「…全く…人をからかうのも大概にしてくれ」
だが、ジルドの口からこぼれたのは軽い悪態。二人は思わず、不機嫌な顔になるが――
「むぅ…っ!あ!ひぃっ?!」
「うぅ…っ?!んぁっ、やぁんっ!」
ジルドの手が、二つの果実をこねる。
左側にいるセリーヌの、左の乳房を。
右側にいるアグネスの、右の乳房を。
悪態とは裏腹の、いやらしく執拗な責め。その理由を求め、二人は快感で焦点が定まらない瞳を何とか動かし、ジルドの顔を見つめる。
「…こっちまで、欲情に火がついてしまったじゃないか」
口元に笑みを浮かべ、見る者を興奮で震わせるような目が、そこにあった。
「そこまで望むなら、心ゆくまで楽しもうじゃないか…」
言いながら、二つの乳首を指で摘んで、こねくり回す。
「やぁっ!だめぇっ!痺れちゃうぅっ?!」
「いいっ?!んあぁっ!そこいいよぉっ!」
体中を駆け抜ける、快感のシグナル。
「それも、一度ぐらいじゃない」
引っ張る、押し込む、擦る、摘む。
その動作と相まって、ジルドの言葉が二人の脳裏に刻み込まれていく。
「何度も、何度も、繋がって…」
「ひぁっ!?すごっ、すごいっ?!」
「抱き合って、貪り合って…」
「ひはぁっ!だめっ!イイよぉ!」
「互いに満たされるまで、愛し合おうじゃないか。三人で」
「あひぃっ?!ジルド、ジルドォッ!」
「ひゃぅっ!来て、来てぇっ!」
押し寄せる、快楽の波。
その大きさに飲まれそうになりながらも二人は、自分達を虜にした男に向かって手を伸ばす。
彼は執拗な愛撫を止め、その手をしっかりと握る。
責めを脇に置いて自分達の手を握ってくれた、自分達より大きな手の暖かさを感じながら、二人は快楽の波に飲まれていく――
――雀の鳴き声。窓から差す日差し。
「…うぅ…ん…」
朝を感じながら、ジルドは眠りの淵から戻る。
体に意識が向き始め、彼は自身が寝台で寝ている事に気がつく。
(…あれ…ベッドで寝たか…?)
――いつものように、壁際で寝ようとした覚えはある。しかし、寝台で寝ようとした覚えは――
と。
両の腕に、柔らかい感触。
耳に、生暖かい風。寝息。
ジルドの思考が、一気に覚醒する。
さっと左を見ると、そこには幸福そうに眠るセリーヌの顔。
そして右を見ると、そこには満たされたような笑みをたたえたアグネスの寝顔。
とっさに毛布の下に目を向けるとそこには、生まれたままの姿となった、自分達の体。
刹那、脳裏に昨夜の出来事が、駆け足で甦る。
アグネスの独白。
彼女との情交。
セリーヌの介入。
二人の誘惑。
理性の決壊。
悶える二人の美女。
そして――二人を悶えさせる自分自身。
(……)
青ざめたジルドは、二人を起こさないよう慎重に、寝台を下りる。