大陸魔戦記 103
しかし彼も、やられてばかりではない。そもそも、「なぶってくれ」と言われたのに、自分だけが快楽という名の蜜を味わうのは、不公平。
ジルドは再び舌を伸ばし、今度は淫裂を軽く広げるように動かし始めた。
「ひぁっ…あうぅぅっ!いい!それいいっ!もっと、もっと広げて!奥までちゃんと抉ってぇっ!」
余程気持ちがいいのか、全身を震わせ、ただ声の限りに喘ぐ女剣士。
しかし情けない事に、ジルドは予想以上の喘ぎを引き出した事に驚き、すぐに舌を引っ込めてしまった。
「あっ?!やっ、やだっ!止めないでっ!」
せっかくの喜悦を僅かな時間でお預けにされたアグネスは、最早普段の凛々しさなど脱ぎ去り、発情期を迎えた一匹の『牝』がごとく、卑猥にねだる。しかしジルドは、脇をちらちらと見ながら、抑えた声で言う。
「ま、待ったっ。そんなに大きな声を出したら、セリーヌが起きてしまうぞっ」
――そう。
この期に及んで、頭の片隅でまだ理性的思考を保っていた彼は、今は静かに寝入る姫君が目覚めてしまう事を、危惧していたのだ。
だが、ジルドを責めるなかれ。
彼は、愛する男が他の女性と仲睦まじくしている事を知った時、女性がどれだけ嫉妬するかを、知っているのだ。
そして、前に「妾をとるつもりはないか」などと言ってはいたが、セリーヌも一人の女性。体まで許したジルドが、家臣であるアグネスと絡み合うのを見た時、それを本当によしとするとは限らないのだ。
ならば、端からアグネスと床を共にしなければ良いのだが、アグネスを泣かせてしまったが故に、ジルドの別の良心が許さない。
だから、せめて起こさないように事を済ませてしまおうと考えていたのだが――
「大丈夫…セリーヌは酒に弱いから、朝まで起きない…」
恍惚に幾ばくかの不満を織り交ぜた表情で、アグネスは呟く。
ついでに、やはりそそり立ったままの、ジルドの純粋な欲望の塊を手で激しく擦り、必死に腰を動かして自らの秘裂を押し付けながら。
「だから…もっとして……」
卑猥に。
「起きないから…早く…」
切なげに。
「疼くのぉ……止めてぇ…っ!」
一心に、ねだり続ける。
彼の躊躇を、取り払うかのように。
「……わかった」
――遂に、ジルドは負けた。
男の性に、ではなく、始めてしまった以上は最後までするという、ジルドらしい義務感に。
…ペロッ
「あぁんっ!」
チュッ
「ひゃうぅっ!」
チロ、チロ
「あっ、あっ!あぁっ?!」
ジュルルルッ
「あひぃぃぃいっ?!」
軽く舐め上げる。
口を開けて秘裂を覆い隠す。
尖らせた舌先で、入り口を二度三度とさする。
溢れ出す蜜を、音を立てて吸う。
第二の覚悟を決めたジルドの責めは、アグネスの喉から嬌声を絞り出す。