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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 30

調理場で真剣に料理に取り組む紅夜叉をどう手篭めに使用と考えていたために上手に伝わらなかったのだろう
そして度々後ろの蒼い桜に振り返りながら聞いてくるので食べ損ねてしまったのだろう
阿蘇はそう結論付けて蒼い桜を眺めると蒼い桜は阿蘇の考えてることが分かった
「そうそう、少しだけ残ったお酒があるの。阿蘇さん飲んじゃってくれません?」
そういってカウンターに小振りの瓶を置く
中にはコップ半分ほどの液体が入っていた
ラベルに「狸の里・金の黄金…」その下はラベルが捲れて巻き上がっていた
「ほお、名品だな」
「グラスは?」
「いや、このまま頂こう」
阿蘇は瓶をラッパ飲みする
蒼い桜が番傘を開くのを見た紅夜叉はテーブルの下に潜り込んだ
どぷぱぁ!!
「やだねぇ阿蘇さん。本日二回目」
「蒼い桜さん?これは?」
「なにって、金の黄金…」
捲れ上がるラベルを指で伸ばす
「あら、玉じゃないわ」
「水…」
「あらあら、これって狸の里のイタズラ用品だわ」
阿蘇は先程の階層深層水でうがいをした
「ご馳走様」
紅夜叉は抱えていたどんぶりの中身を平らげると店を出て行こうとする
「あ、紅夜叉ちゃん」
「ん〜、おしっこ臭いからもういいや。またご馳走してね」
「おしっこ…」
涙目でギロリと阿蘇をにらむ
「俺のせいじゃないだろ」
阿蘇は情報をそこそこで蒼い桜の元から逃げ出した
 
―――蒼木ヶ原市・中央区―――
 
 ここ中央区は、市役所や警察署、裁判所に税務署といった行政関係の建物が集まる、いわゆる『官庁区』と呼ばれる場所である。
 そして紅夜叉の属する茨木側の妖怪達を取り締まる組織、通称『火奉(かほう)」』の本拠地がある場所でもあった。
 
―――中央区・赤井神社―――
 
 市の一等地とも呼べる場所に火奉の本拠地であり、現在の紅夜叉の家でもある赤井神社があった。
 近代的なビルとビルの間に突然深い森が現れ、その奥に進むと朱色の鳥居と拝殿が見えてくる。
 鳥居近くの狛犬の間を通り抜ける際、紅夜叉が「ただいまー」と挨拶をすると、どこからか『おかえりー』と返事が返ってきた。
 次に社務所に入り、また「ただいまー」と声をかける。
「あら、紅(べに)ちゃんお帰りなさい」
 事務用の机に向かい、小さな紙に書き物をしていた女性が顔を上げる。
「ただいま千穂ねぇ、何やってんの?」
 
 仙狐・赤千穂──
 彼女が現在この街の妖怪達の頂点に位置し、火奉を指揮して茨木の妖怪達から人々を守る、愛と正義のスーパーヒロインである。(最後の方は自称)
 

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