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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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幼魔鬼譚〜悪戯好きのアリス〜 137

(ホテルはまだ爆発していない。起爆スイッチを押していからなのか。それとも解体されたか。新聞やWeb記事では火災があったとしか記事になってない。こいつは切り札として役に立つのか…。)
そう思いながらカーテンで遮られた窓から裏山の向こうにある自分の城であったホテルの方向を見つめていた。
そんな物思いにふけっている炬俐の横顔に涼子はまたドキリとした。
「さあ、今日の復習と宿題。それから予習!今日こそ早く寝させてもらいますからね!」
それを否定して振り払うように見返りである勉強を見るように促した。
「おう!さっさとベッドでハッスルしようぜ!」
炬俐とは逆にテンションの高い蛇は涼子に雑巾のように捻られて静かにさせられた。

「だから何度も言わせるなよ!餅は餅屋に任せろって」
「だから人間のヤクザに任せてなにが出来るんだっての!」
日付が変る頃、紅夜叉は馬頭鬼に携帯電話を貸すように『御願い』をしていた。
無論、大切な人質である紅夜叉においそれと外に繋ぎを取らせる馬頭鬼では無いが、何も手段が思いつかない現状に混乱していた。
海外逃亡の目論見はあっさりつぶれ、国内逃亡の難しさも時間が経つにつれ難しさが浮き彫りになってきていた。
そこで紅夜叉から知り合いに暴力団幹部がいるからそいつに頼んでみようという提案を受けるも人間の組織は期待できなかった。
しかも後ろ足で砂をかけて組を抜けたのだ。居場所がばれたらいくら暴力団の傘の下にいたところで所詮人間の組織など妖怪の力を持ってすればあっさり潰されるはずだ。
馬頭鬼の頭の中には「無理むりムリ」という言葉がひたすら渦巻いていた。
「何にもできないのはお前だろ?手があるかもしれないんだから任せろっての!」
紅夜叉は馬頭鬼から携帯電話を奪おうと取っ組み合いをする。
「いい加減にしろよ、犯すぞテメー!」
「おー、やってみろ!大家さんに助け求めるぞ!」
「はっ、残念だな。防音の結界を張ってんだ。悲鳴あげようと喘ぎ声あげようと聞こえはしねえよ!」
そう言うと馬頭鬼は床をドンドンと踏み鳴らせてみせた。
「そうか、いいこと聞いた」
ヒョイと右足を振り上げると馬頭鬼の股間を強打した。
「ぶヒィ〜〜〜ン!?」
耳をつんざく悲鳴を上げながら馬頭鬼は室内を揺らし、どぅっと倒れうずくまると紅夜叉は携帯を拾い、暗記していた番号を入力した。
呼び出し音が数回鳴ると
『おう、誰だ?』
と、ドスの聞いた声が出た。

「俺だ、紅夜叉だ!」
『べに?…!ああ、紅ちゃんか!どうしたんだ?俺としたくなったのか?』
ドスの効いた声が急に柔らかくなったがスケベで粘りのある声色だった。
「頼む、八侘のねぇちゃんに繋ぎをとってくれ!場所は…」
起き上がろうとする馬頭鬼に蹴りをくれて動きを封じながら紅夜叉は一気にぼろアパートの名前と周りの風景を説明した。
『いったい何があったんだい?』
スケベそうな声が一転して心配してきた。
「細かいことは話せないけど、厄介ごとに巻き込まれたんだ。で、チンピラ崩れに助けられたんだけどこいつが組みの金を持ち逃げして身動き取れなくなったんだ!頼むよ」
『本当に厄介だな。でもかわいい紅ちゃんの頼みだ、やってやるさ』
「ありがとう。返せるかわからないけど恩に着るよ」
『気にすんな。だからよ、こんど…』
パンチパーマの言葉が終わる前に通話を切った。


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