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蘇る魔神たち〜近代の戦い〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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蘇る魔神たち〜近代の戦い〜 10

『大佐殿の仰る通りです!』
『どうか行ってください!少佐殿!』
部下達も口々に言う。
やがて彼女も決心した。
『……解りました。隊旗はこの命に代えても、必ずや司令部に持ち帰ります!皆も…ご武運を…くっ!』
彼女の両目に涙が溢れた。
そして仲間達の想いを託した隊旗を受け取り、彼女は一人、戦線を離脱した。

『ハァ…ハァ…ッ!!』
彼女は走っていた。
山中を後退する途中、敵の小規模な偵察部隊に発見されたのだった。
追跡は何とか撒いたが、その際、肩に傷を受けた。
止血をする余裕も無く、山を降りて平地に出たが、もう体力・気力…共に限界だった。
彼女は倒れた。
『だ…駄目だ……まだ…死ぬ訳には…』
だが、彼女の意思に反して意識は闇へと沈んでいった…。



………

……



「……」
彼女は(何故か子宮から)生命力が蘇って来るかのような不思議な感覚で目が覚めた。
「…あっ!気が付かれたんですね!」
「……」
彼女が最初に視認した物は、自分の顔を覗き込んでいる若い人間の男だった。
同盟国メインランドの軍服に身を包んでいる。
「……?」
ふと違和感に気付き、視線を下に移すと、何も着ていなかった。
そして男の下半身と自分の下半身が…繋がっていた…。
「○△□◎☆◇〜〜〜ッ!!!?」
…バキィッ!!!!
次の瞬間、彼女は意味不明な言葉で絶叫して、目の前の人間の男の顔面に渾身の力を込めて拳を叩き込んだ。

その勢いで下半身丸出しの若者と共に、側の廃屋に立て掛けられていた彼の個人火器と覚しき銃が転がる。
やや旧式で弾倉容量が少ない手動小銃、間違っても精鋭部隊に試験運用される自動小銃や短機関銃でもない。

射撃ノウハウの浅い初年兵の無駄弾防止で支給されるか、古参兵が簡易狙撃銃を兼ねた長槍として愛用するタイプだ。
目の前で転げる若者と同じく重苦しい音と不器用な外観で区別は付いた。

そして夢見ごこち、それも悪夢寄りのそいつから目覚めた彼女は『一部種族との性交渉による緊急時の蘇生』という軍事教本の冗談みたいな内容を思い出す。
ならば男同士ケツの穴で模範実践したらどうですか?と宣った瞬間ビンタが飛んだ。

「随分ご挨拶ですな、私物なんでコイツの引き金は軽いんですよ『白い』将校ドノ?」

階級序列だけは守りつつ口調の荒い『黒い』下士官、正式小銃は背に回した彼女の右手が突き出すのは自動小銃にも似た大型の自動拳銃。
細かい精度と有効射程を気にしなければ弾数は純正品の倍という前線で人気の安物コピー銃。

「我々三名、貴女『白い』将校ドノの救出に馳せ参じたのですが、ただいまの利敵行為同然の狼藉に判断しかねています。」

この『黒い』下士官は返答次第で『白い』将校を戦死扱いに、旗だけ持って帰る雰囲気すらあった。
さてどうした物か、思案しながら『白い』将校の右手もまた、軽便な私物の小型自動拳銃の安全装置を握りこんでいた。
ソイツの引き金だって十分軽く、そして威力は兎も角至近射撃なら十二分以上に早い。

「シュルツェン軍曹!やめなさい!!」
その時、もう一人の声と共にやや小柄な人影が二人の間に割って入った。
どう見ても十代にしか見えない少女だが、メインランド軍将校の制服に身を包んでいる。
どうやら彼女がこの三人のまとめ役らしい。
「驚かせてしまい大変失礼いたしました、少佐殿。私はメインランド陸軍歩兵第13連隊、エリーゼ・フレデリック少尉と申します。少佐殿をお迎えに参りました」
「そ…そうであったか…感謝する…」

一方、アレスは…
「あいてててて…いきなり殴るなんて酷……あ…」
殴られた顔の痛みに耐えながら、とりあえずズボンを履こうと己の股間に視線を向けた時、彼は見た。
少し萎えかけた肉棒に、少量ながら血が付いているのを…。
(…えぇぇっ!!?まさかの処女!?…いや、生理か?……うん、生理だよね…生理って事で許してください…)
彼は心の中で白エルフの女少佐に言い訳しながら、いそいそと身なりを整えた。

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