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蘇る魔神たち〜近代の戦い〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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蘇る魔神たち〜近代の戦い〜 3

「第二波来るぞぉ!!もたもたすんな!!」
軍曹の怒鳴り声に我に返ったアレスが上空に目をやると、更に三騎の飛竜が急降下して来る。アレス達は慌てて銃を構え、半ば訳も分からないままに引き金を引いた。

パンッ パァンッ パァーンッ

断続的な射撃音が辺りに響き渡る。だが高速で飛んでいる物を地上から銃で狙って弾を当てるなんて不可能に近い。しかも訓練もロクに積んでいない新兵ばかりだ。そもそも彼らは竜という生き物を見たのも初めてなのだ。
良く見ると竜の背には騎手が乗っている。中世さながらの甲冑に身を包んだ彼らの僅かに見える肌は青い色をしていた。魔族なのだ。自分達は伝承でしか知らない伝説の魔物達と戦っているのだ。アレスはゾクゾクッと身震いした。それが恐怖による物なのか興奮による物なのかは彼自身にも判らなかった。
「魔導弾、来るぞぉ!!伏せろおぉーっ!!」
また軍曹が叫んだ。眩い光を放つサッカーボール大の光球が一つ、二つ、三つ…真っ直ぐ自分達に向かって来る。さっき一撃で前のトラックを中の人間ごと黒コゲにしたヤツだ。だが、当たる!と思ったその瞬間だった。
「シールドッ!!」
突然あの魔導師の少女が兵士達の前に飛び出したかと思うと、両手を上空に向かって掲げて叫んだ。

ズバアァァンッ!!!

次の瞬間、目を開けていられない程の閃光が来た。全員何が起きたのか一瞬判らなかった。少女が作り出した魔法障壁(バリア)が兵士達を覆い包み、敵の魔導弾から守ったのだった。
「ヒュ〜♪凄い…!」
カールは冷や汗を拭きながらも口笛を鳴らす。
「うぅ…」
ところが少女はフラッと足元をヨロめかせたかと思うと、バッタリとその場に倒れ込んでしまった。
「ありゃ…?」
「き…君!大丈夫!?」
近くにいたアレスは慌てて少女に駆け寄る。
「おい!どうした!?」
小隊長が怒鳴る。アレスは答えた。
「はっ!気を失っているようです!」
「どうやら今ので魔力を全部使い果たしちまったようですね…」
軍曹が溜め息混じりに呟く。そしてアレスに言った。
「アレス!魔導師殿をどこか安全な道の脇にでも連れて行ってやれ」
「は…はいっ!」
アレスは少女をお姫様抱っこで抱きかかえた。
(あぁ…女の子の身体って柔らかいんだなぁ…それに何か良い匂いが…)
つい戦闘中である事を忘れ、そんな事を考えてしまう。
「おいおいアレス、鼻の下伸ばしてるんじゃないぞ〜?」
カールがふざけて茶化した。
「バ…バカヤロ!そんな訳無いだろ!?」
道の両脇は畑になっており道の部分だけ一段高くなっていた。アレスは顔を赤く染めながら畑の方に下りて行った。その直後だった。

ズドオォー―――ンッ!!!!

「ぐ…っ!!?」
とつぜん背後で物凄い爆発が起こり、アレスは爆風で前のめりに倒れ込んだ。


「う…う〜ん……な…何だったんだ…?」
ほんの少しの間だけ気を失っていたらしい。目覚めたアレスは自分の下に何か柔らかい“もの”の感触を認めた。
「うわぁっ!!?」
視界がハッキリして慌てて飛び退いた。彼は魔導師の少女の上に覆い被さるように倒れ込んでいたのだ。
「う…うぅ……あら?ここは…?」
少女も意識を取り戻したらしい。目立った外傷も無さそうだ。
「良かったぁ…ご無事でしたか、魔導師殿!」
「そうだわ…私たち飛竜の攻撃を受けて……きゃあぁぁっ!!?」
「へ…?」
とつぜん少女の表情が凍り付き、悲鳴を上げた。その視線はアレスの背後に注がれている。
アレスは振り返って見た。
「う…嘘…だろ…!?」

彼は目の前の光景に我が目を疑った。十数台のトラックは全て煙を上げて燃えており、周囲には変わり果てた姿の兵達が物のように転がっている。
一個中隊が一瞬にして壊滅してしまったのだ。
中隊にはこの少女の他にも三人の魔導師が居たはずなのに、それでも防げなかった…よほど強力な魔導弾を撃ち込まれたらしかった。
飛竜達の姿はもう何処にも無い。
「カール…ジャン…エルモ…アイク…ハンス……嘘だろ…」
アレスは燃え盛る炎を見つめながら呆けたように戦友達の名をつぶやいた…。


どれぐらい経ったろうか…日が西に傾き始めた。
「あの…ここに留まっていても仕方がありません。もうそろそろ行きませんか…?」
少女はさっきから背中を丸めてしゃがみ込んだまま動こうとしないアレスに言った。
「行くって…どこにです…?」
力無く聞き返すアレス。
「決まっています。我が第2中隊に当初下された命令通り、前線へ向かいます。まあ、途中で後続の部隊が追い付いて来るでしょうから、それと合流する事になるでしょうが…」
だがアレスは少女の言葉など、どこ吹く風といったように話し始めた。
「同郷だったんです…みんな…カールとは小学校からずっと一緒で…」
「悲しい気持ちは解ります…でも今は感傷に浸っている時ではないでしょう!?」
少女は急に語調を強めてアレスの肩を掴んで言った。
「二人きりになってしまったとはいえ、私達は未だ軍務を遂行中の軍人です!上官として命令します!私に付いて来なさい!」

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