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蘇る魔神たち〜近代の戦い〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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蘇る魔神たち〜近代の戦い〜 2

魔族の侵攻は当然ながら宣戦布告など無い完全な不意打ちだった。
人間の国々はここ50年ほど大きな戦争も無く、小康状態が続いていた。
まして数百年も人間達の前に姿を現す事の無かった魔族など完全に無警戒…半ば伝説上の存在とされていた。

そんな調子だったので人間側は初戦で大敗。
魔界の門が開いた国は僅か数日の内に滅ぼされた。
こちらの世界に橋頭堡を築く事に成功した魔族軍は、そこを足がかりに近隣諸国を次々と攻め滅ぼしていった。

だが人間側も黙ってやられているばかりではない。
一国一国立ち向かっていては各個撃破されていくと悟った人間の国々は亜人達にも協力を呼び掛け“反魔族軍事同盟”を結成。魔族の出現から約1ヶ月…反撃の体勢は整った。


「ところでさ、お前って童貞?」
「ブフッ!?…な、何だよぉ?藪から棒に…」
再びトラックの荷台…カールと呼ばれた赤髪の青年が、勇者の子孫と噂されるアレスと呼ばれた黒髪の青年に尋ねた。
「いやぁ、これも噂なんだけどさぁ、勇者の能力って童貞・処女じゃないと発揮出来ないって聞いたぜ」
「あ、俺も聞いた事ある。だから勇者の子孫の家系では未だに結婚まで貞操を守るんだよな」
「それなら俺も知ってるぞ。勇者の家系では未婚の男女は貞操帯を着けて日常暮らすんだろ?」
他の兵士達も興味津々といった様子で話に乗って来る。アレスは言い返した。
「そんなもん着けられてたまるか!みんな大衆が勝手にイメージした勇者像だよ。だいたい“勇者の能力”って何だよ?」
「な〜んだ、じゃあお前童貞じゃないのか…」
何故か少し残念そうに言うカールにアレスは小声で言った。
「…いや、それだけは嘘じゃないけど…」
「おぉ!やっぱりそうだったのか、アレス君よ」
「ああ、そうだよそうだよ!」
顔を赤くしてふてくされるアレスにカールは肩を組んで言った。
「ハハハ…悪かった悪かった。許せよ。今度機会があったら娼館に連れて行ってやるからさ」
「そ…それ本当か?」
「ああ、約束だ。童貞のまま死んだんじゃ可哀想だからな」
「あ…あのさ、それ俺も行っていい…?」
「あ!俺も俺も!」
「なんだ、エルモ、アイク、お前らもかよ?よ〜し分かった!このカール様が女の扱い方のイロハを懇切丁寧にレクチャーして…」
「あ…あなた方!!いい加減にしてください!!」
その時、この場に似つかわしくない少女の声が響いた。
「「「も…申し訳ございません、小隊支援魔導師殿!!」」」
男達は慌てて謝る。むさ苦しい完全軍装の男達の中、ただ一人だけ16〜17歳と思しき年頃の少女が混じって座っていた。
淡い金色の髪を赤いリボンで縛ってまとめ、やや深目に被った軍帽の下には、パッチリとした二重まぶたの青い瞳。目鼻立ちの整ったなかなかの美少女だ。体付きの方はまだまだ発展途上のようだが…。
そんな彼女も軍服に身を包んでいたが、その肩には“少尉”の階級章が輝いている。つまり将校なのだ。彼ら兵士との間には超えられない壁がある。
といっても隊長ではない。この小隊の隊長はちゃんと別にいる。
彼女の位置付けは“小隊支援魔導師”といって、一個小隊(約40人の部隊)につき一人の割合で配属される魔導師…つまりは魔法使いなのだ。ちなみに、その希少性から将校待遇されている。
「…それにしても俺たち運が良いよなぁ、まさかあんな可愛い魔導師さんが付くなんてよ。聞いた話によると王立魔法学院の学生だったらしいぜ。俺、アタックしちゃおうかなぁ…」
カールは小声でアレスに囁いた。
「ぜんぜん良くないよ。どうせなら経験豊かなベテラン魔導師の方が良いに決まってる…」
「そこ!聞こえてますよ!」
「「し…失礼いたしました!」」
慌てて謝るアレスとカール……その時だった!

ズドオォォンッ!!!!

「きゃあっ!!?」
「うぅ…っ!?」
「な…何だ一体…っ!?」
突如として轟音と激震が彼らを襲い、トラックが急停止した。
「敵襲ぅ〜っ!!二時の方向より敵飛竜三騎飛来!総員、戦闘配置に付けぇーっ!!」
小隊長の叫び声に兵士達は慌てて荷台を飛び降りる。
「おい嘘だろ!?」
「こ…こんな前線から何十キロも離れた場所に敵が出るなんて…!」
彼らは皆、予想だにしなかった初めての実戦に心の準備も出来ていないまま放り出された。
「あぁ…っ!!」
アレスは叫んだ。彼らの前を走っていたトラックが炎を上げて燃えており、荷台の兵士達は消し炭のように黒こげになって転がっていた。
「ひでぇ…魔導弾の直撃を喰らったんだな…」
隣にいたカールが口を押さえて眉をしかめながら言う。アレスは思った。
(も…もしこのトラックに当たっていたら僕達があんな姿に……これが戦争なのか…)

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