女子高に入学して 4
白石先生と行くのもなんだか照れくさかったから、予定外ながら買えてよかった。
買ったのを履いて店を出ると、いっそう二人と同化した気分になる。
商店街の中では広めの薬局に入ると、シャンプーでなく衛生用品の棚に連れて行かれると
ドキドキしたけど、安売りの一人一個までの一人に利用されただけで済んだ。
「コインランドリーもあってさ、寮の洗濯機がいっぱいの時に使うの」
「へー」
僕はとりあえず相槌を打っておく。
「寮はこっち。車は入れないけど、近道」
「あの、シャンプーは?」
「あ、そうそう」
愛理は玲奈に、僕がこういうシャンプーを使っているから、もう少し適切なものを買いに来た。というような説明をした。
玲奈には、まだ僕の体のことは、伝わっていない。
愛理と玲奈はワイワイ言いながらシャンプーとリンスを選んだ。僕の意見はあまり聞かれることはなかったが、それらしいものが選ばれた。
髪の匂いで女子らしさを出せば教室でも浮くことはなさそうだ。
商店街に銭湯もあったけど、こっちは男湯に入らないといけない。
でも、裏返せば男湯に入る時だけが堂々と男と振る舞える場所だ。たまに来るときには服装と
仕草に気をつける必要がある。路地裏でスカートの下にジャージでも履いてスカートとブラは
カバンに入れて入ればいい。白石先生からも離れれてリラックスできる場所になりそうだ。
二人にはそんなことを考えてるとは毛ほども思わせないように、寮へと歩いて行く。
玲奈も味方になってくれれば、かろうじて仲良しグループができる。
昼も集まって食べれるし、ぼっちにならなくて済む。浮いてもいいのは孤高や異能という
言葉が似合うタイプの人で僕はそうではない。後は、二人が会話で恋愛とセックスとかを
テーマにしないタイプならと願うばかりだ。
そして商店街を抜け、寮に着いた。
さっきの銭湯と同じくらい、少し前の時代のような建物。
「「ただいまです!」」
愛理と玲奈は声を出して扉を開けた。
「おかえり」
!!
廊下には、ブラとパンティーとスリッパだけ身に着け、何か飲み物を持った女性がいて、こっちを見てそう言った。
「うちの寮母、こういう姿は、許容しちゃうんだ」
愛理は僕に耳打ちした。
よく見ると、下着の上下が揃っている。通常の適当な組み合わせではない。
やはり女子力は問われるらしい。
「寮母さんも派手なの?」
「ぱっと稼いでぱっと使っちゃうの。スロットが好きで商店街にある店の常連。
洗濯機はドラム式だし、パソコンもデスクトップで食堂のテレビも大きいし。
儲かった時にリサイクル屋で割といいの買ってくるの」
「建物の見かけより快適なんだ」
「寮はいくつもあるから、契約更新の時によそにも行けるし。居心地がいい所が人気あるの」