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僕とゆきさんは、下半身に何もつけないまま、冷蔵庫の前に立って、例のビール風飲料を出した。
ちょうど、あきら先輩とみちよも風呂から出たところで、そのまま、何もつけないで、同じ缶を持って、4人で乾杯した。
そして、異性間ではキスを交わしたうえで、おやすみを言って、あきら先輩とみちよ、僕とゆきさんでふとんに入った。
朝が来た。ここに来て3日目だ。
昨日と同じように起きて、昨日と同じような朝食にし、そしてバイトに行った。
昨日と同じように午前中の仕事を終え、そして昼。
僕はスマホを見た。あのチャット&無料通話アプリに、メッセージが入っていた。
みちよからだ。
「あの林に来てね♪」
ほんわかと心が暖かくなった。
女の子に呼び出されたことなど今までに無かったのはもちろん、それよりも誰かが自分を気に掛けていてくれることが嬉しかった。
「全く、仕方ないな・・」などと心にも無いことを呟きながらも、僕の頬は上がっていた。
「どうした?コレかぁ?」
そんな僕に気づいた先輩が小指を立て、にんまりと笑う。
「いや、そんなんじゃないですってー・・・」
僕は照れながらもその声は弾んでいた。
「遅刻すんじゃねぇーぞぉ!」
先輩の声を背中に聞き、僕は猛ダシュで林に向け走り出していた。
息を切らしながら、記憶を頼りに、昨日みちよといた、林の奥の方に来た。
みちよは、当然昨日と違う服装で、しかしやはり長めのスカートで、そして同じ弁当箱を横に置いて、木に寄りかかってスマホをいじっていた。
「ごめん、待った?」
「今来たとこだよ。午前中の仕事、おつかれさま♪」
そして、また、昨日とは違うメニューで、弁当が差し出された。
「いいの?」
「うん、あたしが誘ってるんだから」
それはもう、うれしかった。
でも、昨日もタダで食べているので、申し訳ない。
「払うよ」
僕はポケットから財布を取り出そうとした。
「じゃあ…その分、明日の温泉スパで、ご馳走になろうかな」
昨晩の「土曜に温泉スパ行かない?」の話、僕は“うん”とは言っていないのだが、みちよの中では決まっているんだな…
「あ、ああ…それじゃあ、そん時に…」
僕は仕方なく答えるしかない。
行きたくないなら、ちゃんとあの時に断っておくべきだったと後悔もする。
それでも数十年前の温泉スパだったら、二つ返事で喜んで同行していたと思う。
その頃の温泉スパは男女別々に入るか、もしくは水着着用だったのだ。
それが今や…
僕は素っ裸を晒す『恥ずかしさ』の中、全裸の女性たちの前で、さらなる『恥ずかしい状態』になりはしないかと、気が気ではなかった。