パートナーシェア 29
「みちよ、それ、誰かから、聞いたの?」
「あんな大声で言ったら聞こえるよ〜」
「いたの?僕が帰って来た時」
「うん、デスクの部屋で英語聴いてた」
英語聴きながら、隣室の会話が分かるのか…女子は同時並行的にいろいろできる、って聞いたことがあるけど確かにそうなんだな。
みちよはシャワーを浴び始めた。
「また、明日、あの公園の林でやろうよ。あと、土曜に温泉スパ行かない?」
あきら先輩が口を開いた。ちょっと茶化す感じで言った。
「みちよ…コイツと外でやったのか?俺とはシェアの外でやったことはなかったぞ?」
「あきらくん、職場歩いて行けないじゃんw」
みちよも表情を崩さずに答えた。
「あきら"くん"って、みちよ!あきら先輩は年上だぞ!」
僕は兄貴のような存在である先輩に対して、みちよの『くん』付けは納得いかなかった。
「いいんだ。いいんだ。みちよにとっちゃ包茎男は皆、子供に見えるらしいんだ」
笑いながら湯槽から立上がる先輩は、その皮を誇張するかのように、長く引っ張って見せた。
「だって、あきらくんのおちんちん、すべすべで赤ちゃんのほっぺたみたいなんだもぉ〜ん」
そう言うみちよは先輩の前に膝ま着き、それに頬擦りした。
先輩の皮が、剥かれもしないのにピンクの亀頭を露出していく・・
僕にとって自分以外の男の、勃ちあがっていく男根を見るのは始めてだった。
(なんだか凄いや・・)
僕の感動など分かりもしなだろうみちよは、その姿を隠すかのように口の中に隠していった。
始まってしまった二人を前に、若い僕の股間も疼かないでもなかったが、流石に普段のような勢いはなかった。
それでも、あきら先輩とみちよとの3Pを考えると、僕にとっては魅力的過ぎた。
しかしながら、ゆきさんに今晩のセックスを延期してもらった以上は、ここで流れに任せて参加することは、僕にはとても出来そうもなかった。
後ろ髪を引かれる思いで僕は、フェラを受ける先輩に向かい、“ガンバレ”と口パクで送り、それに応え“スマン”と拝むように先輩は片手を上げた。
興奮のあまり鼻の穴を膨らます先輩の顔にピースサインを送り、僕は二人の邪魔にならないよう、そっとバスルームを後にした。
トランクスとTシャツくらいをつけた状態で僕は脱衣所を出た。
これからどうしよう…ここに入ってから、結構嵐のようだった。実は昨日は、毎日ログインしていたスマホのゲームのログインを忘れていた。
誰もいないリビングでスマホを手に取って、ログインした。
ベッドの部屋へのドアが開いていた。その向こう、ベランダに、ジャージのままゆきさんがたたずんでいた。
ここのベランダからは、ちょっとは夜景っぽいものは、見える。
ログインだけは果たしたこともあり、僕はゆきさんの方に歩いて行った。
素足にコンクリートが冷めたかった。
吹き上がる風がトランクスの裾から入り込み、僕の陰嚢を優しく撫でた。
僕に気づいたゆきさんは『あれ?』と顔をしながらに、にっこりと笑ってくれた。
「眠れないの?」
「あ、そういう訳では・・・」
ログインに夢中になってしまい、時間は既に12時を回っていた。
僕はゆきさんの横に行き、遠くの夜景を見つめる。
そんな僕の顔に、ゆきさんの顔がしな垂れ掛かってきた。
優しいキスだった。
今までセックスの前儀としてしかキスをしたことのない僕にとっては、こんな優しいキスは始めてだった。