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そんな僕の気など知る由もないあきら先輩は、堂々とシャワーを浴びている。
男2人で入るにはあまりにも狭いそこで、僕は駆け湯もそこそこに浴槽に浸かり、膝を抱えた。
見上げると、いかにも女受けしそうな、逞しい身体が水滴を弾いている。
薄く全身に着いた筋肉は、灼けた小麦色の肌と共に、頼りがいのあるアニキ敵存在を際立たせ見せていた。
それでもあきら先輩のそこは、自分同様に皮に覆われていた。
東洋人の7割り以上が仮性であることは知ってはいたが、僕はあきら先輩のその形状に、親近感を抱かずにはいられなかった。
「お前・・馬鹿にしてんだろ?」
僕の視線に気付いたのだろう、あきら先輩が怪訝そうに眉をしかめる。
「そ、そんな・・僕だって・・」
「手では剥けんだ、だからセックスには問題は無いんだけどな。」
そう言いながら皮を剥く先輩から、淡色の亀頭が露出された。
「僕だって仮性です・・」
目のやり場に困りながらも、僕はソレから目を離せなかった。
「そっか、このシェアハウスの野郎2人は、揃って仮性クンってことかよ。」
笑い声を上げるあきら先輩は、亀頭の括れに付いた白いカスを指先で摘んで取った。
「ヒッ!」
あきら先輩の身体がピッりと爆ぜる。
そのゾワっとした感覚は僕にも分かった。
「堪んねーな・・」
熱さで伸びた玉袋をブラブラとさせながら、あきら先輩はニヤリと笑った。
狭過ぎる浴槽で肌を密着させながら、僕とあきら先輩は湯に浸かった。
考えてみると、男同士で風呂に入るのは始めてだった。
街中には温泉スパなるものは多く存在はしていたが、男女が別々に別れて入る制度は遠に廃止され、
今や湯を楽しむというよりも、裸の男女の出会いの場となっていた。
「どうだ?やってけそうか?」
あきら先輩の声は、エコーが掛かったように響いていた。
「まだ、ゆきさんとやってないんです。」
「ゆきか・・あの子は相手の潜在能力を引き出すような・・不思議な魅力を持っているさ・・」
そう言いながら、あきら先輩は励ますように僕の肩に腕を回してくれた。
「潜在能力か・・」
(『恥ずかしい感情を極大化させてください!』)
自分の言った言葉が甦り、僕は顔を赤らめた。
「ん?どうした?」
あきら先輩は僕の髪を指に絡めながら不思議そうな顔する。
「何でもない・・」
僕は誤魔化しながら、あきら先輩の腕に首を持たれかけた。
それはそこに変な欲求が無い分、とても心地よかった。
これがもし女性相手だっとしたならば、男の欲求が先に立ち、こんなにもリラックスは出来ないだろうとも思えた。
あきら先輩が優しく頭を撫でてくれる。
頭を撫でられた事など久しく無かった僕は、子供扱いされたようで恥ずかしくもあったが、単純に嬉しかった。
僕は今日起こった総ての出来事を忘れ、その日溜まりのような温かさの中に身を委ねた・・
脱衣所でお互いの水滴を拭き合う程に、あきら先輩とは近しくなれた。
男兄弟のいない僕にとって、先輩というよりも兄貴のようにも思えたが、本当の兄弟は一緒に狭い風呂などに入ったりしないだろうと思え、それならばこんな出会いでよかったと思えた。
そしてあきら先輩とのこんな関係を続けていく為にも、明日のゆきさんとのセックスは上手くやらなばと、僕は心底思った。
脱衣所に人影が、と思ったら、次の瞬間に扉が開かれた。
「そういちろうくん、恥ずかしいこと快感なの?」
風呂だから、当然何も身に着けていないみちよがそう言った。
あきら先輩は何も反応していない。
『風呂でもトイレでも、鍵がかかっていなければ、いくらでも一緒に入っていい』
説明を受けた日の、あきら先輩の言葉を思い出した。そうだよな…別に先輩と二人で密室に入っていたわけでなない。
そもそも、みちよ、いつ帰ってきたのだろう?その話、ゆきさんが話したのか?そういうキャラには思えないが…