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それとともに、僕とさやかさんの結合は外れた。僕からの液はさらにそこにぶちまけられた。
パチパチパチ…
なぜだか、あいが、拍手を始めた。
それにつられたのか、他のキャバ嬢や黒服や客たちも、なぜか、拍手した。
さやかさんは「ありがとうございます」と頭を下げたが、僕は、どうしていいのか分からず、頭をかくばかりだった。
それでも、我に帰っても、この見られている状況は、やはり喜びだった。
終わったことを見届けて見物の人たちは散り散りになった。
そしてその場は再びさやかさんと僕だけになった。
「ごめんね。迷惑かけちゃった」
「いえ、ごめんだなんてそんな…リング外してくださり、ありがとうございました」
さやかさんは、そのリングに締めつけられていた跡に触れた。
「すぐ、元通りよ」
さやかさんはそこをさすりながら、軽くキスをしてくれた。
さやかさんは続けていった。
「ねえ、なんでここに来たの?客引きに捕まったとか?」
「え、えぇ、それも、あるのですが…いろいろ考えてしまうことあったり…さやかさんが勤めている『キャバクラ』ってどんなところなんだろう、ってちょっと興味あって…」
さやかさんは僕の背中をぽん、と叩いた。
「それでたまたま入ったところに、わたしがいた、と。それだったら、うちでわたしに聞いたらいいのに〜」
「そうですね」
「『来るなら私を指名して』なんて言わないから。そりゃあ、売上ほしい時もあるけど、大事なシェアメイトからお金取ろうとは思わないよ…まあ、リングつけられるようなところ、とかいう印象を持たれると、そればっかりじゃないんだけど…でもそういちろう君はもうここは来ない方がいいと思うよ」
「はい、言われなくても、そうします…あ、もちろん、決して、さやかさんの仕事場に、って意味じゃないですよ」
そして、さやかさんはおしぼりを持って来させ、液にまみれた僕の下半身を拭いてくれた。
「さやかさーん」
「はーい、今行きます…呼ばれちゃった。そろそろ行かないと。じゃあ、また、シェアでね」
さやかさんもおしぼりで軽く股間を拭いた後、手早くドレスを着て、去って行った。
僕も、服を着て、出て行った。
そのまま出て行っていいのかな、と思ったが、単に「ありがとうございました」と言われただけなので、何もせず出られた。
謝罪も何もなかった。本当に、さっきのことは誰にも報告されていないのだろう。
まあ、リングは余計だったにせよ。目覚めたこともあるし、タダで飲めたし、まあ、いいとするか。
歩いて、シェアに帰った。
リビングで、きのうと同じジャージ姿で待っていたゆきさんには、リングとかさやかさんとか余計なことを言わずに
「歩いていたらキャバクラの客引きを断れなくて、そこで抜いてしまったので、ごめんなさい。明日必ず」
と謝った。
ゆきさんは、フッ、と笑って「じゃあ、明日ね」とだけ行って、その場を立ち去ろうとした。
やっぱり呆れられている…僕はその後ろ姿に向けて、思い切って行った。
「明日は、ベランダでやってくれませんか!」
ゆきさんが振り返った。
「恥ずかしい感情からの欲情に、目覚めたんです。恥ずかしい感情を極大化させてください!」
ゆきさんは、にっこり笑った。
「いいよ」
ゆきさんと入れ代わるようにあきら先輩が部屋から出てきた。
「おっ、そういちろうくん、今帰ったのか?一緒に風呂どうだ?」
僕の脳裏に、夕べみちよと抱き合っていた先輩の裸が思い出され、気不味さを覚えたが、断る理由も見つからず、渋々にその後に続くしかなかった。
それでも、洗面所で服を脱ぐ先輩の身体を何気に盗み見ている自分に戸惑いながら、僕も一気に服を脱いだ。
さやかさんの店で大量に出したせいか、僕のモノは親指程に萎縮し、陰毛の中に埋没していた。
しかも今だリングの後がくっきりと刻まれていた。
いくら男同士だといえ、それを堂々と晒すには気が引け、僕は股間を両手で押えて、浴室に入った。