パートナーシェア 20
「うん、はじめて」
僕は思い切ってタメ口にしてみた。
「じゃあ、VIPサービスの説明って聞いてないね」
あいは、ますます体を近づけてきて、僕の答えを待たずに、小声で説明を続けた。
「奥の部屋で…あたしと、少子化対策。あたしに直接払うの。お兄さんかっこいいから、この値段でいいよ」
やはりそういうことか。つまり、この店で直接そういうサービスを行うと違法なので、女の子が個人的にやっている、ということにしているのだろう。
「あたし、18歳っていうことになってるけど、実は高三、17歳なんだよ」
「17歳?」
僕は小さい声で驚きを表現した。
「勤められるの?結構規制厳しい、って聞いてるけど…」
「それは表向き。結構いるよ…出会い系だけじゃなかなか稼げなくてね…ねぇ、どう?サービス?」
あいは、ズボンの上から僕の股間にすら手を近づけてきた。
「僕…シェアに住んでいて…」
あいは、とりあえず手の動きを止めてくれた。
「シェアに住んでるんだ!あたしも、高校卒業したら住もうかなって思ってる!」
「・・だからさ、ソッチの方は間に合ってると言うか・・ゴメン」
僕は何故か後ろめたい気分に陥り、あいに謝っていた。
「ふふ♪。。お兄さんが謝ることないのに〜やっぱ、シェアってヤリヤリなの?」
あいは黒服の運んできたピラフを受取りながらも、興味深々と言った趣で僕の顔を見つめてくる。
「ヤリヤリってことも無いさ。僕なんて慣れていなくて、恥ずかしいさ。」
「そうなの?お兄さんの立派そうだったけどなぁ〜」
あいはピラフの上に乗ったタコさんウィンナーを指で摘むと、その頭の先端に、赤い舌をペロンと這わした。
うーん、なんかこんな状況でも、そこに血液が流れ込んでいる自分が情けない…
僕は水割りを半分くらい飲んだ。
「立派、なのかなあ…というか、なんか、種馬みたいなのが、なんかなあ…」
「種馬、って?誰かにそう言われたの?」
「まあね」
「シェアメイトの女の人がそう言ったの?」
「そういうわけじゃないけど…でも『精子ちょうだい』みたいなことは、言われた」
あいは、一呼吸置いて、言った。
「うん、あたしも、精子もらって、出産手当ほしいよ。でも、でも、誰でもいいわけじゃないよ。オジサンとだったらお金なるべくもらうし、クラスの男子だって、コイツとはやりたくない奴は多いよ…だから、そう言われるのは、気にいってもらえていることだよ」
あいは、僕の目をまっすぐ見てそのように言った。
「そうかなあ…」
「わりと小規模なシェア?異性に拒否権があるような」
「そう」
そうだな。人数が多いと、異性に拒否権があったら成り立たないだろう。
あの先輩がいるところは、もしかしたら人数が多くて、お互いに好みでない人もいるのだろう。
「それに合格したんだったら、みんなに、パートナーとして受け入れられたんだよ」
受け入れられた…そうだったらいいな。でも、実は、今日最後の試験が残っている…
「実は、入ったばっかりで、まだ一人と…やっていないんだ…それで不合格だったら…」
「そうなんだ。やっぱり不合格だったら、嫌でしょう?」
「うん・・当然、相手にも好みがある訳だから、ダメってこともあるんだろうけど、
やっぱ男としてのプライドが傷つくよな・・」
僕はもじもじと視線をテーブルに落とした。
「やだぁ〜お兄さん、まだ落ちたって決まった訳でもないじゃない〜♪」
あいは耳元に"ふっ"と息を吹きかけると、その耳朶を柔らかく噛んできた。
・・ぁっ!・・
不覚にも僕は、女の子のような甘い吐息を漏してしまった。