パートナーシェア 11
でも、それとこれとはなんだか違った。
カラオケボックスとかでは皆が皆エッチな雰囲気で、男はもちろんのこと女の子までもが、どこか気持ちが浮かれているもんだった。
ゆきさんのように醒めた奴など1人もおらず、増しては僕の尻や勃起したモノを黙って見つめながら食事をする奴なんて、いる筈もなかったのだ。
僕は、その疑問をほぼそのままみちよに投げかけた。
僕のモノは、この時点ですでにしぼんでいるのは言うまでもない。
みちよは、くすりと笑って言った。
「それは…シェアだから、というのと、ゆきさんだから、が半々くらいかな」
「半々?」
みちよは、ホワイトボードの前に立った。
ここには、メンバーの名前の磁石がついて、いるかいないか、とか、仕事に行ってる、とか、あとは『分担金払ってね』みたいな連絡事項とかが書いてあった。
「来週、ここにそういちろう君の名前があるといいな、って信じてる」
そのあと、ペンを持ちながらこう言った。
「誰の言葉だかよくわからないけど『パートナーシェアハウスは、セイカツの場でありセイカツの場でもある』っていうの聞いたことない?」
セイカツ2つって何だ?
みちよは、ペンでその余白に『生活/性活』と書いた。
「いやぁ、聞いたことない」
「シェアは、こんなふうに、同じ部屋の片方でセックスしていてもう片方でそれと関係なく生活している、っていうのが当たり前なんだ」
性活…僕はホワイトボードの文字をまじまじと見つめた。
「あと、ゆきさんは、いつもこうなんだよ。楽しくて、笑ってもにこっとするだけだし、セックスしても声とかあまり出さないし…あ、ゆきさん、ごめんなさい、どっちも、入って一カ月もしていないあたしがいうのも、変ですね」
そういってみちよは笑った。
ゆきさんは、こう言った…変わらぬ平板調で。
「あとで3Pする?」
「?@@!」
僕は目を最大限に開き、ゆきさんの顏を見た。
確かにここに来る前は、そういうこともあるかもしれないと期待しない訳では無かった。
でもそれは、ここでの生活も慣れてきてからの話しで、
来たその日に、しかも僕が初体験を向かえたその数時間後に"3P"の誘いを受けるなどとは思ってもいなかったのだ。
「お!3Pかよ!俺も混ぜてもらおぉ〜かなぁ〜」
野太い男の声が玄関から響き、ネクタイを緩めながら先輩が入って来た。
「せ、先ぁ輩〜」
僕は同分子を持った男の登場に、喜びの声を上げずにはいられなかったのだ。
「何だ何だ、随分と情けないモンぶら下げてんじゃないか。がんばらないとココの住人にはなれないぞぉ」
期待を裏切る無碍な先輩の言葉に、僕は慌ててそこを両手で隠した。
その先輩の言葉も無理も無かった、僕のは亀頭を包む皮が先端で余り、子供のモノかと思うほどにすっかりと縮み込んでいたのだ。
「おかえりなさい。あきらさん」
変わらぬ調子でゆきさんが言った。
先輩は、あきらさん、って名前だったことは、実はさっきホワイトボードを見て初めて知った。
「ただいま、ゆき」
あきら先輩は食事中のゆきさんの顔を自分の方に向けて軽くキスをした。
「ちょっと飲んでますね」
「おぉ、ケーヤクシャインだって職場の飲み会くらい行くぞ」
それからあきら先輩はスーツを手早くその場で脱ぎ始めた。
「ただいま、みちよぉ」
すっかり着ているものを脱いだ先輩は、僕とみちよの方に近づいてきた。
「おかえり」
この子はやっぱり常にタメ口なんだな。
直前まで僕のモノをさすって、また大きくしようとしてくれていたみちよは、立ち上がって、あきら先輩と抱き合った。