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女捜査官
官能リレー小説 - 職業

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女捜査官 2

「どう?佑梨ちゃん、『視える』?」
目的のビルから200mほど離れた場所で琉唯は振り向きざまに佑梨に聞いた。
その言葉を理解し、走りながら佑梨は目を見開く。一瞬、その目が青白く発光する。青いスパークを飛ばしながら、彼女の目は真っ直ぐ目的地を見据えていた。

「…うわ、これ相当ヤバいっすよ!」

瞬きして目に元の色を取り戻した佑梨が告げる。

「今、『取引中』っス!」

「…!…とんだ厄日ね…ッ!」

苛立ちを表に出して、琉唯は頭をフル回転させる。相手が最も警戒している状態で侵入しなければならないのだ。万が一見つかった時の戦闘要員もいない。

最悪…私の『力』で……

琉唯はそう考え、目的地へと急いだ。


「……10階に2人、エレベーターと階段に1人ずつ、11階は0人、12階は……」
佑梨が走りながら教えてくれる情報を、琉唯は素早く頭に叩き込み侵入経路を算出する。
佑梨の超能力『千里眼』と『透視』は、チームの要ともいえる能力だ。彼女なしにこのチームは成り立たないといっても過言ではない。

「本当、人がいっぱいね…夜中とは思えないわ…どうしようかしら…」

「『ワープ』、使ったらどーっスか?」
佑梨が呑気に言う。

「…馬鹿ね、中に入ったとして脱出はどーするのよ」

琉唯の超能力『ワープ』は、座標の点と点での移動を可能にする能力だ。ただし、1回での移動距離に制限があるのと、使用後7分のインターバルが課されることが難点でもある。

制圧や捕縛作戦の際には警視庁の対テロ部隊SATや、防衛省直属の自衛隊秘密特殊工作隊と言った、警察自衛隊の協力を得る事もあるが、人里離れた山奥や、地方の田舎町ならともかくこんな都内の、繁華街では目立ってしまう...
二人は支給品の拳銃とサブマシンガンも持ってはきているが、あくまでも発見された際の緊急手段である、

「映画よろしく通気ダクトから忍びこむか」

ハリウッド映画よろしく屋上の換気ダクトから入り込み、脱出の際にテレポートで撤収する...マニュアル的ではあるが1番無難な方法ではある。
「私たちの目的は敵の能力の把握と、その人物の確保よ。」
琉唯は佑梨に言った。
詳細は琉唯のみに伝えられている。情報の漏洩に配慮して、最小限にのみ伝えられるのだ。今日も例外ではない。
「そいつも能力者なんですかあ。」
佑梨は携帯で彼氏にメールを送りながら言った。当然だが、違反行為だ。敵に奪取された場合、組織の情報は洩れないにしても、親類縁者が不幸になるのは想像に難くない。
以前、裏組織に潜入した捜査官が情報端末の類を秘密裏に奪われた経緯があった。
彼女の娘はとらわれたうえ新薬開発の実験体として利用された
媚薬開発の実験だったらしく、今ではセックス依存症となり、精神病棟の患者として入院しながら、一日10人の性行為を必要とするからだになっているという。


音もなく佑梨のスマートホンが砕けた。
琉唯の手にはハンドガンが握られている。形としてはコンパクト・オートピストルの分類に似た形状をしてはいるが、別物である。
銃は構造的にはエアガンに似ているが威力は一般的な9oオートのハンドガンと同等の威力を持つ。
玉は徹甲弾と固形麻酔薬の2つがあり、後者は体液に反応して溶解するタイプである。
空気圧によって同じエアガンで併用ができる。
しかし、ヒット部位は露出部位に限られているため、洗練された射撃能力が必要となる。
12歳から海外の軍事キャンプで慣らしていた彼女だからこそ有効に運用できる代物だろう。
「ちょっとお。これ高かったんだからね。」
壊れた端末を振りながら佑梨が少しむくれていった。すぐそばで音もなく端末が破損したのにもかかわらず、腰を抜かしたりしないところは相当慣れてきている証拠だろう。
「携帯はここで破棄。バックアップは30分ごとにとってあるはずだから。明日新しいのが届くわ。」
「情報交換はどうするのよお。」
「能力開花のために、頭の中に入れたチップが直接側頭葉を刺激、音声刺激として伝達できるはずよ。口を使わないため、慣れておいてね。」

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