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女捜査官
官能リレー小説 - 職業

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女捜査官 1

時刻は深夜0時を少し過ぎた頃。
まだ煌々と若者達を照らし出すネオン街から少し離れたところに、無機質なビル街があった。ここにはもう、夜の喧騒も男女の営む声も届かない。老人のように静まり返って街全体が眠りについているかのようだ。そんな幾何学的に建ち並ぶビル群の1つに、2人の人影があった。

「あぁ〜〜もうやってらんねーっスよ!カレシといいムードだったのにぃ〜!」

そう言って片方の女が不機嫌そうに口を尖らせる。年齢は大学生くらいであろうか。
およそ「ギャルをイメージしてごらん」と言われて10人中9人がイメージするであろう、典型的なギャルの容姿だ。濃いめのメイクに月夜に映える金髪は毛先の方だけ赤みがかっている。唯一、ギャルっぽくない要素を挙げるのであれば、身に纏う漆黒のラバースーツだろう。ぴっちりと体のラインを露わにし、否応なしにその膨らんだ胸部と臀部に目がいく仕様になっている。前のファスナーを胸の下部まで下ろしているせいで、より扇情的である。

「あれ、佑梨ちゃん、彼氏くんとは相性が悪いから別れたって言ってなかった?」

もう片方の女が、不思議そうに首をかしげる。年齢はギャルより少し上だろう。
優しさをはらみつつも鋭く光る目に長い睫毛、薄めの口紅。新月の夜の空のように黒く腰まで伸びる髪。同様のラバースーツに身を包んでいるのだが、溢れ出る色気は隣のギャルとは比べ物にならない。まず、胸部と臀部の膨らみーーーもちろん、ギャルのそれもまた平均を大きく上回っていることに変わりはないのだがーーーは、すでにスーツがはち切れそうなほどに大きく、少し身じろいだだけで淫靡に揺れる。ファスナーをきっちり上まで閉めているにも関わらず、フェロモンが滲み出してきているのではないかと錯覚するほどにエロティックである。また胴回りはくびれがありつつ肉付きもいいという男の喜ぶ理想型であった。

「もぉ、琉唯さんいつの話ししてるんですかぁ?あの短小粗チンならとっくの昔に別れてますよぉ♪今のカレは、チョーSEX上手いんスから♪」

佑梨と呼ばれた女は、笑顔でそう返した。その返答に、琉唯は明らかな戸惑いをみせる。
「そ、そち…っ…///相変わらず佑梨ちゃんは…その……」
「琉唯さんこそ、このぐらいの下ネタトークで赤面してちゃ生きてけないっスよ?」

佑梨は呆れたようにわざとらしくため息をつく。
それに対し、顔の温度は上昇したまま、「…仕事中よ」と琉唯は顔を背けた。

そう、彼女らは仕事中なのである。表沙汰にできない事件を極秘に処理するエージェント、社会の裏を生きる潜入捜査官なのであった。さらにいえば、個々人が特殊な『力』を持つ超能力集団でもある。

「そういえば、残りの2人はどうしたの?」
現れない2つの影を探して、琉唯が問う。

「ン…あぁ、萌花さんとアリスですかぁ?……またどっかで男漁りでもしてンじゃないっスか?」

「…………あの子たち…」

残りのメンバーの萌花とアリスは、チームの中では男癖が悪いことで有名である。有り得なくない事態に琉唯は頭を抱えた。

「でも、今日の仕事ならあの2人いない方がいいかも…しれないわね」

これ不幸中の幸いと、携帯端末の指令に改めて目を通す。今回は不正薬物の売買の情報奪取が目的であり、捕縛や暗殺は命令にない。あの2人はこのフォーマンセルの言わば戦闘要員であり、またかなりの戦闘狂でもあることからよくやり過ぎてしまう。
上層部からとやかく言われないためにも、今回は2人で任務にあたった方が良さそうだ。

ビルに一陣の風が吹いた。それを合図にしたように、琉唯の目つきが一変する。

「気を引き締めていきましょう」
そう言うと2人は夜のビル街に静かに身を躍らせた。



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