海で・・ 751
「もぉお秀人さん…空気読んでくださいよぉ…」
秀人に向かい膨れっ面を作る遥ちゃん…
へぇ?…秀人は空気を読んだからこそ…
「なんだぁなんだぁ、一馬のことまだ諦めていなかったのかよ…」
秀人は僕に向かいニヤっと片頬を上げた。
…マジか。
しおらしい態度だから、もう僕はてっきり…
秀人は僕の隣に座り肩を組んできた。
「遥のために一肌脱いでこいよ」
「どういう意味だよ」
「わかってるだろう…よし、舞、萌、俺の部屋でゲームするかぁ?」
舞ちゃんと萌ちゃんは喜んで秀人とリビングを出て行ってしまう…
「さぁ、一馬さんも遥の部屋でゆっくりなさってきて…」
薫さん;ゆっくりって…分かって言ってるんでしょうか?;
「この家は秀人以外女しかいないから、遥にいろいろ教えてあげてよぉ!」
アヤさん;…いろいろ教えるって…そんなことしていいんでしょうか?;…
「僕なんかで本当に大丈夫なんですか…」
今日初めて会った男なのに、だ。
薫さんにとっては大事な娘を、そんな男に託して…
「一馬くんだから、よ」
アヤさんはポン、と背中を押す。
「一馬くんなら任せられるわ」
薫さんも優しく微笑む。
そこまで言われたら…って気にならないことも無いけど、やっぱり僕には責任が重過ぎる;…
「そんな困った顔しちゃって…一馬くんってプレッシャーに弱いタイプなんだぁ〜」
「あ、はい;…こういう場合…どうしていいか…」
誘導されるならまだしも、自分からリードするなんてとても出来そうに無い;…