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海で・・
官能リレー小説 - 年上

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海で・・ 59



ー授業が終わると、足早に帰路につく。

ミキさんが自分の第一志望の高校で教育実習をしている…
何が何でも、合格しないと…
そう思うと、今まで身が入らなかった受験勉強も、たちまち気合が入ってくる。

そして…
真帆の第一志望の高校も、実は僕と同じなのだ。

成績優秀な真帆は、もっと高いレベルの高校を目指すのだろうと、僕でなくとも皆思っていた。
担任である唯さんから再三、そのことで打診があったのは知っていた。
それでも真帆が自分の母親の出た高校・・K高にどうしても行きたいという意志は硬かった。
それは一馬の親父が出た高校でもあり、親父と真帆の母親である紀美子さんが出会った高校でもあったのだ。

真帆に比べると一馬の成績はぱっとしなかった。
K高の高くはない偏差値にも届いてはいなかった。
それでも今までは、一馬にとってK高などどうでもよかったのだ。
そんなだから、机に向かっても身など入らず、気がつけば股間に手が伸びているのが関の山だった。

だけど今は、ミキさんが教育実習をしているK高・・
真帆が通うであろうK高・・
親父と紀美子さんが付き合っていたK高・・
そこには特別な、淫美な臭いが立ち篭めていそうで、今の一馬には、もうK高しか考えられなかった。

一馬は、いつに無く歴史年表を真剣な眼差しで見つめながらも、
机の下では丸めたティシュペーパーを、握ったペ○ス先端に宛てがっていた。




…翌朝。

いつも通り目を覚まし、朝食も身支度も済ませる。
そこで、ようやく気付く。

真帆の言ってた『新しい私』って、何なのか…
僕には予想がつかなかった。

家の門を出る。
「わあ!」
「うわっ!?」
門の影に隠れて、真帆が待っていた。

「おはよう、一馬くん」
一瞬、ミキさんがいるのかと思った。
真帆は肩まであった髪をバッサリ切っていたのだ。


「ど、どうしたの?」
一馬は寝癖のついた自身の髪を押さえることも忘れ、あんぐりと口を開いた。

「似合う?失恋すると女は髪を切るんだよぉ〜」
真帆は頭と腰に手を置いて、ポーズをつくって見せてきた。

「おいおい、それって僕に言うことかよ・・」
僕は膨れ面をつくり、呆れたように言う。

「だからぁ〜真帆にはもう一馬くんしかいないんだってぇ〜♪」
真帆は猫のように擦り寄って来ると、チュ!と唇を重ねてきた。

「お、おい!近所の人に見られんだろ!」
僕は慌てて、真帆を引っ張るようにして、家の中へと誘った。

親父は既に出勤し、お袋は通院の日の為、早朝から出かけていた。
僕は扉が閉まるのももどかしく、真帆を壁に押し付けると、その唇に飢えたように吸い付いた。

唇を離す。
真帆はニコニコ笑っている。

「えへへ」
「まったく…」

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