海から始まる恋物語 2
「君、カノジョはいる?」
「いませんよ」
四年で出て行くから頓着しないのか、あまり女子大生向けには見えない古いマンションの一室に入った。
クーラーがすぐ効かないようで、彼女は水着の上に着ていた服を脱いだ。
「よかった。もしそいつがヤンデレでスマホのGPSで監視してたら、ここにもやって来そうだし」
「そんな、ゲームや昼メロじゃあるまいし」
「女子校の恋バナには結構過激なのがあってね…ボトルのままでいい?」
「ええ、構いませんよ」
「どうせだったら好きな奴選んでもらおうかな」
「あまりわかりませんけど…」
リサさんは僕に冷蔵庫の中も見せてくれる。
ウイスキーやブランデーにシャンパン、おしゃれなカクテルまでカラフルな瓶とともに揃っている。
さすが外国の人は違うのかな、普通ならビールとかなんだろうけど…
適当に一つ選んでテーブルに置く。
「リサさんは大学出た後は考えてるんですか?」
「日本が大好きだから、できればずっと居たいと思ってるの」
カクテル片手に夢を語るリサさんは僕よりずっと年上の女性に見えた。
こんな人が彼女だったらいいな…
「佑真くんは…カノジョの国籍が違うとか、抵抗はない?」
「へっ!?…い、いえ、全然!」
「ホントに?」
「はい!…その、す、好きになる人に、国境なんてないと思います…ましてや、リサさんみたいな素敵な人なら…」
「ふふっ、嬉しい♪」
向かい合っていたリサさんが、こちらに近づいてきた。
僕の目の前のリサさんは、何というか…ものすごく綺麗だった。
顔立ちはすっきりとまとまっていて、美しく整っているけど切れ味が良すぎてものすごく冷たげな感じがする、向こうの女優さんにありがちな顔ではない。
綺麗で可愛いと言ったらいいのかな。アジアでも好まれる造形だと思う。
水色の瞳は、澄んだ中にお酒の力かほんのわずかな潤みを差したような。
ヤバい、ものすごく可愛い…
リサさんの潤んだブルーの瞳に引き込まれそうになる。
年上の女性なのに、愛おしくて抱きしめたい気分になってくる。
「佑真くん、好きになっていい?」
「ぼ、僕も…」
瞬間、リサさんは僕の背中に手を回し唇を重ねてきた。