朝、目が覚めると……☆第2章☆ 26
玲二はそう思っていたが、
「和美ちゃん、アップルティーも追加ね♪」
「な…」
まだ頼もうとする梓にはなにも言えなくなってしまう。しかし、
「もう!あっちゃん。いくらなんでも頼みすぎ、少しは遠慮しよう。ごめんなさい玲二さん」
「え〜!だって〜!れーくん、おごってくれるって言ったもん!」
真由にいさめられても梓は納得してないようだ。
「はは…いいんだよ真由ちゃん。梓ちゃんも、遠慮なんていらないよ(う、う…今月の小遣いが…)」
玲二は顔では笑っていたが、心の中では泣いていた。
玲二のメアドゲットの道のりはまだ険しそうだ。
一方、豊と麻衣は‥‥
「私、クラシックショコラとプレミアムパフェを」
「じゃあ、俺も同じものを」
二人は随分と親密になっていた。この後、一緒に水着を買いに行く約束もしている。今の話題は修学旅行のことだった。
「修学旅行楽しみですね」
「あぁ、そうだね……と、ところでさ…その…良かったらなんだけど…自由時間とか一緒に行動しないか?」
豊にそう言われた麻衣は、
「は、はい喜んで!」
満面の笑顔でそう答える。玲二とは対称的に豊はこの世の春を満喫していた。
(うふっ…麻衣ちゃんって、笑顔もかわいいなぁ)
烏の濡れ羽色のような艶のある黒髪と白い肌のコントラストが印象的で睫毛も長い。麻衣も和美や真由達にも劣らないくらいの美少女だ。幸せ一杯の豊は、麻衣のひとつひとつの仕草に萌えながら、つい目元も緩んでいる。そんな豊の様子に、麻衣はくすりと笑いながら…
「ふふっ、豊さん。自由時間なんですけど……私、パンフレットを持っているんです。見ませんか?」
「え!?麻衣ちゃん持っているの?ぜひ見たいな。」
麻衣は鞄から、一冊のパンフレットを取り出す。表紙には『CrystalParadise』とあった。
「今度の修学旅行は、そこの開島式も兼ねているそうですね。色々と見る物もあるんですけど、どれがいいですか?」
「ふうん、そうなんだ。けっこう見る所があるんだね」
豊はページをぱらぱらと捲る。するとあるページで手が止まった。
(これだ!これなら、麻衣ちゃんと…むふふ)
「豊さん、どうしたんですか?……いいのありました?」
麻衣が不思議そうに聞いてくる。豊はあわてて捲ったページを見せた。
「こ、これなんだけどさぁ。良いと思わない?」
「どれです?……“青の洞窟”……ですか。」
じーと何も言わずにページを見ている、麻衣。豊は思わず息を飲む。
「いいじゃないですか!私、こういうのが大好きなんですよ」
「そうなの麻衣ちゃん?うわぁ良かったぁ〜〜!!」
飛び上がる豊。彼女の満面な笑みに思わずガッツポーズをするのであった。
一方、玲二はと言うと…。
「はぁ……どうしよう…」
今だメアドゲット出来ずにいた。