朝、目が覚めると……☆第2章☆ 3
『ふぅ・・・。さ、もう決まりだな。レジに行くぞ皆!』
帝の一声で集まる一同。帝はそれぞれ皆が気に入った色とりどりの水着を受け取り、レジにて会計をする。
『えー、四点で、49280円です。』
は?何ですと?
若い店員はさらっと言い放ち、無表情のまま帝を凝視している。
帝も突然無表情になり、蓮達に水着を持たせ、猛然と走り出す。
『ちょっ、帝!どこ行くのよ!』
突然の事に驚き、怒鳴り声を上げる蓮。走り去りながら、帝は答える。
『ATMだよ!ちくしょー!』
所持金足りずATMへ。哀れ金沢帝(合掌
「はぁはぁ…やば…。」
ATMの前で息を切らす。うかつだった。
正直女物の水着が、あんなに高いとは思わなかったからだ。
ちくしょ…それだったら、さっきメイド喫茶なんて行かなきゃよかったぜ。
「後悔しても・・・て・・・え?」
ぽんと背中を叩かれる。
思わず振り向くと、そこには……麗華さんがいたのだ。
「な〜に、慌てているのかしら?帝くん。」
「はは……。」
タイミングが良いのか、悪いのか、こんな所で彼女に会うなんて。
俺は思わず苦笑する。
「お金?……帝くんはカード持ってなかったかしら?」
……うっ、そうだった。少額ならATMで下ろすが、高額な買い物ならカードでしろと両親から渡されていたんだった。
かなり水着が高かったから、焦って走ってしまったぜ。
しかし、剛毅な両親だ……ひと月当たりの利用限度が百万円、使い方まで詮索しないって言うから凄いもんだ。
使うのにドキドキしてる俺って、なんだか小市民だよ。
まあ、留奈の小遣いに比べたら些細な物だが、はっきり言って最高に使って十万円ぐらいだもんな……
しかし、五万円で慌てる自分……ちっちゃいぞ(泣)
でも何で麗華さんが知ってるんだ?
「だって死神だもん……でも自分の女の子に水着買ってあげるなんて、帝くんも隅にはおけないわね」
微笑む麗華さん、お恥ずかしい限りです……
「でも抜け駆けはいけないわよ……私と和美も買って貰いたいわ」
「……」
悪戯っ子のような麗華さんの笑みに、顔をひきつらせる俺。
「もう呼んでるから……和美に京華さん、飛鳥ちゃんもね」
思わず頭を抱える……お金どうこうじゃなく、みんなにどう言われるかを考えると頭が痛い。
「はぁ……まじかよ〜〜。」
俺は思わず、その場にがっくりと腰を下ろしてしまった。
数十分後。
あの後、和美に京華さん、飛鳥さんが合流。麗華さんを含めて、今は水着売り場に戻っている。
正直、ここは居心地が悪い。……さっきから蓮や留奈の怒りの視線が突き刺さている。
「そんな悲観しなくてもいいでしょ。後で見つかったらもっと面倒じゃないの。」
麗華さん、そうは言いますけどね……。
げっ。ちょっと…麗華さん、何ですかその水着は!
「あ、これ?ふふっ、特別の水着みたいなの。ちょっと派手かしらね♪」