「ああ、じゃあな。楽しみにしてるぜ」
直樹は頷いて病室を出る。
「（おっし、やってやるぜ）」

それから数日が経ち、いよいよ甲子園を賭けた夏の大会が始まる。
照星の初戦は片桐擁する館山国際高校。
互いに礼をして試合が始まる。
照星は今回後攻なので、各自が守備位置に散ってゆく。
そして、先発相川が投球練習を終える。
館山国際の１番打者吉原が左打席に入り、球審がプレイボールを告げ試合が始まる。
相川は吉原に投げる。
吉原はこれを見逃すが、判定はストライク。
相川は２球目を投じる。
吉原はこれを打ち返す。
しかし、ファースト相馬へのゴロに倒れた。
相川は２番木村も打ち取り、３番片桐を迎える。
相川は初球、ストライクを取りに行く。
しかし片桐は、その甘く入って来た球を見逃さずにヒッティング。打球は一二塁間を抜けてライト前へ転がる。
ツーアウト一塁となり、４番三宅が右バッターボックスに立つ。
相川の初球、二球目は共に外れボール。
三球目は三宅が球を捕らえるが、打球はバックネットへ。
１−２となった四球目、片桐が盗塁を仕掛ける。
球は外に逸れボール。すかさず柊がセカンドに送球するが、間に合わずセーフ。
これでツーアウト二塁となり、スコアリングホジションにランナーを背負うことになった相川。
１−３からの五球目は際どいコースながら、判定はボールでフォアボール。
ランナー一塁二塁となり、バッターは５番松尾。
相川は松尾を追い込むものの、決めに行ったカーブが甘く入ったところを左中間に運ばれ二者生還。
後続は抑えるが、照星はいきなり館山国際に二点の先行を許す。

その裏、照星は１番滝川が、館山国際先発竹中からセンター前にヒットを放つ。
続く２番藤井はきっちりバントを決め、滝川は二塁へ。
ワンアウト二塁のチャンスで、打順は３番直樹に回る。
竹中は得意のシュートで直樹をサードへのゴロに打ち取る。