相手山口はのらりくらりと照星打線を封じ込めている。
この回は９番相川の攻撃だ。
相川はなんとか出塁しようとセーフティーバントを試みるが、船橋中央サード大西が難なくさばく。
そして、ファーストへ転送。これでワンアウト。
続くのは１番の滝川。今日は二塁打を一本だけ放っている。
その初球、滝川は打ちにいくが、当たりそこねのサードゴロ。しかし、打球が詰まっていたことが幸いし、滝川は快足を飛ばしファーストを駆け抜ける。内野安打だ。
続くは２番藤井。
ここで彼は山口のスライダーを思いっきり引っ張りサード後方に落とす。
急いでレフト馬場が押さえるが滝川は三塁へ、打った藤井は二塁に到達する。
ここで船橋中央は伝令を送り監督からの伝言を伝える。
そして３番直樹だが、捕手倉田は立ち上がる。
そして直樹を敬遠し、野田勝負に出る。
今日の成績から言うと、直樹はショートライナー・センター前ヒット・セカンドゴロであった。
一方の野田は３つの空振り三振と散々である。
野田が打席に向かう前に土居監督は野田に耳打ちをして打席に送る。
そして、野田がバッターボックスに立つ。
初球は高めに外れてボール。
二球目、山口は外角へカーブを投げる。その瞬間、野田はバントの構えをする。スクイズだ。ボールの軌道をよく見て、必死にバットに当てる野田。打球は一塁方向に転がる。
野田のスクイズはないと読んでいた船橋中央は虚をつかれた。
慌てて山口がボールを取り、ホームにトスするが、既に滝川はホームに滑り込んでいた。
これで勝ち越し。してやったりの土居監督だが、不安はあった。野田は元々小技が苦手なのだ。
野田は長打力が武器ということもあり、過去バントなど殆どしたことがない。