しかし、土居監督は野田にもバント練習をさせた。例えパワーがあっても、常にホームランが打てる訳ではない。状況によっては、一点を奪いに行く野球も必要なのだ。
それでも、野田のバント成功率は高くなかったので、ある種の賭けでもあった。
更に続く柊は、センターに犠牲フライを放ち、更にもう一点加え、このイニングを終えた。

八回裏、照星は相川の疲労を考慮し、二番手として松本をマウンドに送った。
松本がどれだけ投げられるかは分からないが、夏の県大会を見据えて経験を積ませなければならない。もし、これで打たれたとしても構わない。練習試合では、勝敗より内容重視だからだ。
それでも、勝つに越したことはないが。
彼の課題はシンカー以外の変化球取得と投球術にある。
コントロールは悪くないだけにそれが浮き彫りになる。
この回の船橋中央は８番倉田から始まる。
松本は自慢のシンカーを引っ掛けさせてサードゴロに打ち取る。
茅野が難なくさばき１アウト。
次は９番山口だが、船橋中央は代打を送る。
代打は左打ちの鮫島だ。
鮫島は松本の117kmのストレートをセンターにはじき返す。
そして１番村沢。
村沢はセーフティーバントを仕掛ける。
茅野がダッシュしてこの打球をさばき何とか２アウトランナー２塁となる。　
バッターボックスには、２番の山本が入る。今日の山本はノーヒット。この後がクリーンアップだけに、何とか山本で抑えたいところだ。
しかし松本はコントロールが定まらず山本を四球で歩かせる。
そして３番馬場を迎える。
続く４番川崎が当たっているだけになんとか馬場を打ち取りたい。
柊は松本を上手くリードして、２‐２のカウントまで持ってくる。
柊は松本にインローのシンカーを要求した。
松本もこれにうなずきシンカーを放る。
しかしこのシンカーが抜けてくる。