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プレイボール!
官能リレー小説 - 学園物

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プレイボール! 46

野球でホームランと判断されたが映像ではファールとなったりスタンドに入ったと思ったら応援団が持つ旗でグランドに戻った様なもんでありすっきりといかないのも分る。
「直樹、色々とケチがついているが合格は合格だ……もう一つの学校はお前の現状では厳しい……」
職員室にて担任が話すが彼もこんなケースには想定外であるから言葉を選んでいた。

 沖縄の小樽キラーホエールがキャンプに参加中の達樹も難しい顔になる。アイツはケチ付けられるととことん落ちる性格だ……。
「達?練習試合は何処にする?」
監督の青谷 正樹が後ろから声を掛ける。彼とは同期でありここ数年は他球団で投手コーチをしていたが昨年監督に就任し達樹にコーチを要請してきたのも彼だ。
「監督!?できればドルフィンズとのやっておきたいですね」
「大変だな…直樹君は…」
「アイツはとことん落ち込みますからね……どうすればいいのか?」
達樹も考え込む。


「直樹、とにかく受かったんだから一緒に行こうぜ」
「……」
蒼太の言う通り、何はともあれ、受かったことは事実なのだ。
だが、正規の判定では不合格だったこともまた事実だ。
直樹としては、それが納得出来ない。
自分の実力で、受かりたいという気持ちが強いのだ。
今後、直樹が受ける予定の新設校の照星高校は、一般入試で二月にある。
こちらのほうが合格率は高いのだが、現段階で決めれば、嫌な勉強ともひとまずおさらば出来る。
「直樹?生きてるか?」
「……」
考え込んでいる直樹の耳には蒼太の声は届いていない。
「な・お・き・く…」
心配した蒼太が直樹の顔を覗き込もうとした、その時…──
「決めた!!」
直樹は勢いよく顔を上げた。
その際、直樹と蒼太の唇の距離は3cmあるかないかだった。
「何かあったのか?!」
やっと周りが見える状態になった直樹は、死んでいるような蒼太を見て叫んだ。
「…死ぬかと思った…」
そう言うと、何も知らない直樹を残し、死ぬ気で唇を守った蒼太はふらふらとした足取りで帰って行った。

直樹の決意も聞かずに。
「(…やっぱり自力で合格したいな。勿体ない気もするけど…)」
直樹の結論は新設校の受験だった。
直樹の気持ちの問題もあるが、新設校に対する期待感があるからこそ、あえて受験するのだ。
照星高校は今年浦安市に開校の私学で、まだ無名なため、学校はスポーツで名前を売ろうと考えていた。
その第一が野球である。無名校を甲子園の常連校に引き上げた土居監督の招聘もその一つだ。
生徒は名のある監督の元でプレーしたいと願うものだ。創部数年で甲子園出場を決める高校などは、これがその一因だったりする。

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