うちのマネージャー 10
(マネージャーを辞めたいとか…まさかそんなだったら)
聡介の顔がサーッと青ざめていく。
(くそっそんなの冗談じゃねーよっ)
それでは一体何のために今年部長をかってでたのかわからなくなってしまうではないか!
『原田くん!』
『あっありがとう原田くん』
『原田くん…今度の試合のことだけど』
それまでほど遠かった共恵と、この一年間でどれだけ近くなれたかわからない。
それにきっとこの先だって…
『…原田くん…実はわたし原田くんのこと…―』
『…原田くん……キスして欲しいな………』
そしてついには!!!
『原田くん…共恵のバージン…もらって?』
(くぉぅああおぅ!たまんねぇー!)
聡介は勝手な妄想で目覚めてしまったムスコを両手でしごきながらさらに妄想を繰り広げる。
『ぁんっ…原田くんの意地悪ぅ』
『原田くん…共恵の中…気持ちいい?』
(ああ!最高だぜ!小原!…いや、共恵!!)
妄想と共に手の動きを早めた。
「ぅおおおおおっっ!!」
原田聡介。かなりの妄想癖の持ち主である彼は、今日も共恵をオカズにマイワールドの中で生きるのであった……
†††
―チュンチュン…
「んっん……ん…朝?」
共恵は起き上がり思いっきり伸びをした。
たっぷりと睡眠をとったためか頭もすっきりとして心地いい目覚めだった。
「さーって!朝ご飯作らなくっちゃ」
えいっとばかりに布団をはねのけベッドから足をおろした。
あまり周りには話していないが、共恵はこのマンションに一人暮らしだった。元々は家族そろって引っ越してきたのだが、父親の突然の海外赴任が決まり夫婦そろってアメリカへと行ってしまったのだ。
そのためひとりにしては広すぎるマンションの最上階で、共恵はもう一年近くも暮らしているのだった。
(今日は久しぶりに部活もないしな〜…出かけないでのんびりしようかな)
淡い水色のサマーニットに白のフレアスカートを身につけ、簡単な朝ご飯をすませると一気に暇になってしまった。