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うちのマネージャー
官能リレー小説 - 学園物

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うちのマネージャー 88

が、とりあえず今は授業中だ。電話には出られない状況だろう。ただ、胸騒ぎがするのも事実だ。
気味の悪いくらい機嫌の良い聡介など、昨日までの彼の落胆ぶりを考えれば、奇妙だと言う部員の気持ちも分かる。
…そしてその突然の機嫌の良さは共恵が関係しているのだろう。
(…さすがに今抜け出すのは無理か)
さっきまで気怠げに机に伏せっていたのだ。保健室に行けるわけもない。

『………』

考えた末健哉は、とあるツテに一通のメールを送ったのだった。



†††



自分の顔がニヤけているのがわかる。聡介は放課後の廊下を早歩きで第三実験室へと向かっていた。昼休みからずっと、実験室へ向かおうとする自分自身との戦いを繰り返し、なんとか部活もいつも通りに終わらせ、今ようやくこうして行くことが出来るのだ。
一番の要注意人物である健哉も、教育指導の片桐に捕まり部活も半ばで生徒指導室へと連行されていった。(どうやら彼の授業の提出課題を出していないらしい)部活が終了する時間を迎えても戻っては来なかったからよほどしぼられているのだろう。
これで、もはや自分を邪魔する者は誰もいない。何もない。一刻も早くこの溜まりに溜まった感情を吐き出すべく急ぐ聡介の足は、いつの間にか早歩きを通り越し駆け足になっていた。



†††


ガラッ

何かの音がした。媚薬に冒された共恵には教室のドアの開く音さえ認知できずにいた。しかしドアの開閉により僅かに差し込んだ光によって、共恵は漸く熱に苛まれた状態から一瞬だけ正常な感覚を取り戻した。
(………な、に……?)

いや、違う。誰?

『…ッハッ…ハッ…ハッ……』

浅く聞こえる乱れた息づかい。僅かに分かる一人分のシルエット。

誰?

その時、どこからか実験室の窓を覆っていた真っ黒なカーテンを揺らすほどの風が吹き、外からの明かりが相手の顔を照らし出した。



†††



(ちっ…片桐のヤロー)

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