うちのマネージャー 46
そして、共恵自身も。
健哉の言葉になぶられて、辱められるのを心のどこかで期待しているのだ。
「共恵?」
名前を呼ばれただけのはずなのに、“ほら、言ってごらん”そう聞こえるのは、きっと気のせいじゃない。
「………っ」
けれどやはり、まだ素直に欲望を口にするには、余りある羞恥心が邪魔をする。瞳は情欲に潤み、頬を赤くして“襲ってください”と言わんばかりなのに、共恵は首を左右に振る。
「言えないワケ?」
言う健哉の口調は決して怒っている風ではない。どちらかといえば楽しそうでさえある。
「…昼間はあーんなに素直に縋りついてきたのに」
「…あっ…あれは」
「聡介のせいって言いたいわけ…?」
(あっ…。)
この時、漸く共恵は気づいた。健哉は怒っている。笑顔の向こうにある健哉の瞳の中には、確かな冷たさが宿っている。
「ちがっ…違うのっ」
思わず否定の言葉が滑り出す。健哉に嫌われたかもしれない。その恐怖からだった。けれど、肝心の健哉が何に対して怒っているかが、全くわからない。
(どうしよう…)
思わず俯いてしまった共恵に、健哉が口を開いた。
「共恵」
呼びかけられ、恐る恐る顔を上げた先で、二人の目がかち合った。
「…あ」
「……」
健哉の瞳は欲望と、冷たさの両方をたたえ、共恵を射抜いていた。
(…嫌われても…この躯を求めてくれるなら……)
自然と共恵の唇から言葉が滑り出ていた。
†††
じゅるっ…ぴちゅっ…
「んはっ…ひっ…ひいっ」
スカートの中が蠢き、絶え間なく水音が響く。
“犯して”
共恵が発したのはその一言だった。たった一言。その言葉を聞いてから、健哉の頭は共恵のスカートの中に潜り込んだままだ。何度絶頂を迎えても、途切れることのない愛撫は共恵の思考回路を麻痺させ、感覚のみを研ぎ澄まさせていた。
全身が性感帯になってしまったのではないかと思う。今自分の秘豆を弄んでいるのは何なのか。それさえわからない。触れてくるすべてが舌のようにも感じるし、すべてが健哉の指のようにも感じる。ただわかるのは、確実に快楽に溺れているということ。
「らめっ…ひぅ…ぁ…ぁっ」
ぐちゅ…ぴちゅう…くちゅ
下半身の力ははとっくに抜けていて、共恵は両手を木に吊され、健哉の顔の上に座り込むかのような体勢をとってしまっている。けれど健哉は共恵をどかすどころか、むっちりとした太股に顔を挟まれたまま益々顔を押しつけてくるのだ。