うちのマネージャー 41
「…なにしてんだよっ」
(この声っ!?)
背後から聞こえてきた、低く怒気をはらんだ声に共恵が反応し、聡介の腕の中から抜け出そうともがくと、漸く拘束が少しだけゆるんだ。しかし腕から抜け出せたかと思うと強く体を引かれ、無理矢理に再度抱きしめられてしまった。
「…痛いっ!やめてっ…」
不安定な姿勢で体をからめ取られてしまい、痛みが走る。
(嫌だっ…健哉くんっ…!)
心では必死に健哉を呼んでいるのに、その姿を見ることさえ出来ない。と、ぐるっと体を反転され今度こそ完全な羽交い締め状態になった。しかも目の前には…―
「健哉くんっ!」
叫ぶも健哉は何もいわず、じっと二人の様子を窺い見ている。構わずに再び聡介は、共恵の首筋に顔を埋めてきた。
「ひぃっ!」
首に這わせられた舌の感触に悲鳴を上げる。さらに聡介に両胸を鷲掴みにされ、力の加減を知らないのか、もはや愛撫とは呼べないそれに、共恵は苦痛しか感じられず、小さく呻いたのだった。
「…あぅっ…ううっ…」
「はぁ…はぁ…健哉…イイとこなんだ…はぁ…邪魔すんなよ……」
共恵を抱きしめてから初めて声を上げた聡介は、興奮からか、必要以上に呼吸を乱していた。そんな聡介の言葉に、全然イイところなんかじゃない!そう共恵は言おうとしたのだが、その必要はなかった。今まで言葉もなく傍観していた健哉が、突然声を上げて笑い出したのだ。それはもう堪えきれないという風に。
「くくっ…はははははっ!!」
「健哉…くん…?」
突然笑い出した健哉に聡介の手が止まる。だが抱きしめられているのは変わりないため共恵は聡介の腕に囚われたままだ。