うちのマネージャー 128
プルルルル、と無機質な音が15回‥健哉には繋がらず、友恵はため息をついて携帯をポケットにしまった。用事があると言っていたから出ないのか、監禁されていて出られないのか‥
こうなったら、まずは屋敷を一周外から見てまわるしかない。愛する健哉の危機だもん、私が助けてみせる!と、気合いを入れて屋敷の影でコソコソ握りこぶしを作っていると、正面玄関の大きな扉が開いた。慌てて隠れると、そこにいたのは健哉だった。
思わず声が出そうになったなったのを急いで両手で口を押さえて押し殺す。
後ろから、三条先輩も出てきたからだ。
様子を見ようと壁に沿って近づいていく。話し声が聞こえる距離まであと少し。ゆっくり近づいていると、友恵のポケットの中でマナーモードにしていた携帯がブーブーと振動を始めた。メールかな、と思ったものの鳴り止まず、振動音が壁にあたり思いがけず大きな音が出てしまった。こんな時に一体誰から、、マズいマズいマズい!!見つかってしまう!
ポケットごと携帯を握りしめていたら、携帯片手に持った健哉が目の前に現れた。
「ん?え!?友恵!?」
「えぇ!?この子が!?」
不法侵入して10分、アッサリとバレてしまった。
†††
「あっはっはっはっはっはっ!ひいぃお腹痛い。監禁だって健哉、監禁!可愛いいい」
三条先輩が用意してくれたお茶を飲みながら、ただただ真っ赤になって、何度目かわからない謝罪の言葉を述べる。
バシバシ三条先輩に肩を叩かれる健哉くんは、無言だけどずっとニヤニヤ笑っている。事情がわからないのは私だけだけど、どうやら何か勘違いをしているらしいことは2人を見ているとわかる。
「いやぁ、笑かしてもろたわー!共恵ちゃんね、共恵ちゃん。ガッツあるやん!めっちゃ気に入ったわー!健哉、共恵ちゃんちょーだい!」
「誰が渡すか。共恵を放したって?硬直しとるわ」
思いっきり抱きつかれてホッペにキスをする三条先輩をふりほどけず、硬直しながらも、想像していた金持ち令嬢のイメージがどんどん崩壊していった。
「イズミ、俺のだから」
「ハイハイ。共恵ちゃんはこれからイズミとお友達ね」
「イズミ…?」
呟く声に健哉くんはため息をついて、トップシークレットな、と言った。
「俺たち、親戚。いとこなんだよ」
「そ、せやから健哉と共恵ちゃんが結婚してくれたら親戚になれるんやで〜待ち遠しいわぁ」
「…えええええええええええ!!?」
†††
たっぷり驚き、散々叫ばせて頂いてようやく落ち着いた。