学園の真実 11
「いったいなにを……」
「そのままじっとしていて」
突然の接近に狼狽する知花。近すぎる。親友の濡れた瞳も、その淡いピンク色の唇も、10センチと離れないところまで迫っていた。
「こうすれば襲われないから。わかるでしょ、あたしたちだけで楽しんいるフリをするのよ。スケベなオヤジたちは眺めているだけで満足する。だからこうやって『フリ』をするの。さ、体の力を抜いて」
するすると早紀の手が動く。腕から肩へ、肩から胸へ。水着の下へ。なんのためらいもなくその手は知花の乳首を摘まんだ。
「ひゃっ? そ、そこまでするの?」
「抵抗しちゃダメよ。男になんか興味がない、そう思わせるのよ」
「そ、そうはいっても……」
言葉は遮られた。
知花の唇を、早紀の唇が奪ったからだ。
「んん? んん、んむーっ!」
キス。
生まれて初めての、ファーストキス。
それをよもや同性の、親友である早紀に奪われる。
さすがに許容できる行為ではない。今日の早紀は何か違っている……
「ごめんね、知花。フリでも本気でやらないと騙しきれないからね。でも我慢して。これもすべてあなたのためなんだからね」
そうつぶやくと、再びキスを挑んでくる。
そうなのか。びっくりしたけど、そこまであたしのことを考えてくれているんだ。
勢いに流されて納得させられてしまう。頭のどこかがこんなのおかしい、と警報を鳴らしているのに、周囲から湧き上がる男女の交わりの音、つがう獣の声が知花の理性を覆い隠していく。
「ん……」
とうとう唇を割って、熱く柔らかな早紀の舌が口内に侵入してきた。
「ん…んあっ、んっ…んんー、んうっ」
早紀の舌先が知花の舌に絡みつく。唾液が洪水のように口内に押し寄せてきて、まともな考えを奪っていくみたいな感覚。あっ、何、これ、気持ちいい…
「知花…………好きっ」
数十秒間のキスがとても長く感じた。唇が離れた瞬間に視界に入った親友の瞳は蕩けていた。
胸をまさぐる早紀の指先。
「あ、ああっ、ダメだよっ」
感じやすい乳首を責められて、つい声が出てしまう。いったん距離を取ろうと早紀の胸に手を置いて引きはがそうとする。
しかしその手を早紀の手が覆い、彼女自身の乳房へと引き寄せていった。
「ね、あたしのも触って知花」
「えっ」
知花の胸よりひとまわり、いやふたまわりはボリュ−ムがあろうか。すでに高く隆起した乳首が薄い水着を持ち上げて、知花の愛撫を待っていた。
触って……いいものなんだろうか。女の子同士なのに、こんなのおかしいよね……?
「知花……!」
浮かんだ疑問は早紀の接吻によってかき消される。
優しい手がゆっくり愛でるように知花の乳房を撫でた。同時に侵入してきた舌を反射的に吸いながら、知花の手も親友の乳房を揉み始める。
最初はたどたどしく、慎重に。やがてそれは互いの乳房へ加えられる快感によって激しさを加速していった。
「んんっ! ん、んんーっ!」
完全に勃起してしまった乳首を摘まみ、ひねり上げ、からめた舌を躍らせて、パートナーへそそぐ快楽をどんどん増していく。
相手への愛撫を強めれば強めるほど、帰ってくる快楽も大きい。それを知った知花の痴態は激しくなり、周りの状況におかまいなくどんどん乱れていった。