君の人生、変えてあげる〜第2部〜 12
人それぞれの過ごし方があるのだろう。
みどりちゃんも帰り支度をしているし、小山内先輩はすぐに席を立って生徒会室を後にしていた。
宮内先輩は「郁、私の分もよろしく」と言って自分のマグカップを渡していた。
「こんなメンバーだけど、これから楽しくやって行こう。拓真くんもよろしく」
「はい」
僕はどうしようかと考えた。景さんのところが一番行きやすいかな、と思った。そうして、景さんを目で追おうとしたら、その前にみどりちゃんと目が合った。
「たっくん、一緒に帰る?」
「あ、うん」
僕とみどりちゃんは一緒に生徒会本部室を出て階段を下りる。
「よく考えるとたっくんとちゃんと二人でしゃべったことってなかったかも」
飛鳥ちゃんたちの委員長会議に出席する中で一緒になる機会は多いけど、お互いあまり発言することもなかったので、みどりちゃんとはなかなか話すことがないままでいた。
なので今後は楽しみが増えたかな、とも思う。
「うちのクラスでも酒本くんの話ってよくするからね」
「そうなんだ…」
3組だとルイちゃんや薫ちゃんなど、深い交流を持った子も数人いる。
「特にルイちゃんとか、よくたっくんのこと言ってるよ」
おとといのこととかも言っているのだろうか?僕は直接答えず、しばらくの間僕もみどりちゃんも黙って前を向いて歩いた。
「…宿泊研修のお風呂…あれ、けっこう、私には、ショックだったんだ…あの、ルイちゃんと、いきなり、セ…」
みどりちゃんは声をひそめた。
「あの、セックス、始めて…」
「あ、うん…」
確かに、あの時みどりちゃん、けっこう驚いていた。
「一組では、当たり前のように、その、やってる、ってほんと?」
「うん、当たり前、って言うとちょっとアレかもしれないけど」
「ごめん。ルイちゃんは結構オープンに言ってて」
まああの子らしいなと思う。
「僕のことを好きになってくれた証だと思ってる。それが他のクラスの子にも波及することを飛鳥ちゃんは考えてるみたいだけど」
「へぇ…」
「みどりちゃんが今すぐそうなってほしい、なんて思わないよ」
「うん。酒本くんの事、これからいろいろ知れたらいいな」