学園ご意見所X 97
「じゃあ二択ね。これを股の中に入れるか、殴られるか」
その二択もおかしいだろ。
どちらを選んでも無傷じゃ帰ってこれない。
「選ぶ気ないんでしょ、ならこっちで決めるから」
最初からそのつもりだったんだろ。
「山路さんと北橋さん、コイツをしっかり押さえつけておいて。今村さんはそのまま突き刺してあげて!!」
白木さんの意のまま動く女子3人。私は両脇を抱えられ、目の前には金属バットのグリップ部分が迫ってくる。
濡れてもいないマ◯コにそんなものを入れること自体間違っている。そもそもバットはそんな為の用途じゃ…
「ふあぐっ!?」
「おっ、意外と簡単に入っていくじゃん」
「や、め、ろぉ…」
このままでは人として終わりそうな勢いだ。
早く、誰か…
ドガアアアアアアン
「何っ!?」
ドアの前に置かれたバリケードもろとも蹴破られた。
「はあぃ!こんにちは!」
ニコニコ笑った愛華センパイとその横には翼。
そしてその後ろには友梨菜センパイまでいる。
霧香センパイも非常識なポテンシャルだけど、愛華センパイもデタラメなポテンシャルだったのを思い出す。
「なぁっ?!」
驚く白木さん。
でも、気を取り直して何故か笑みを浮かべる。
「何の用ですか?・・・私達4組の秘密のイベントに乱入なんて無粋ですね」
「へぇ、そう見えないけど?」
ニコニコする愛華センパイと笑みを浮かべる白木さん。
「西浜さんが、私達に親睦の為に芸を見せてくれると言う事なのですよ」
無茶苦茶な言い分だ。
私がクラスの中で孤立してる事をいい事に、それで押し切る気なのだろう。
「そうは見えないけどねぇ」
「証拠は?無いんでしょ?」
余裕の笑みを浮かべる白木さん。
だが・・・
『・・・山路さんと北橋さん、コイツをしっかり押さえつけておいて。今村さんはそのまま突き刺してあげて!!』
鳴り響く声、それはさっきのやり取り。
「なっ?!」
一体何故・・・
動いたのは友梨菜センパイだった。
ツカツカと窓際まで歩いて、カーテンをバッと開ける。
その窓の向こうに浮いているもの・・・
「ドローンで映像も音声もバッチリ拾っているわ」
友梨菜センパイの手にはゲームのコントローラーのようなもの。
ああ、ゲームの得意な友梨菜センパイだ。
こう言う操作もお手の物なんだろう。
動揺する白木さん達を他所に、私はバットを股間から抜く。
「うわぁ、ばっちい・・・」
「ヒナ、大丈夫?」
「コーディ(仮)より細いけどばっちいよぉ」
翼が駆け寄って服をかけてくれる。
持つべきものはやっぱり友だ。
「と、言う事なんだけど?」
「あなた達だってっ!ここまで来るのに暴力に頼ってるじゃない!」
もう冷静さを失ってる白木さん。
これじゃあ三流悪役だよと、逆に同情してしまう。
「暴力には頼ってないぜ」
そう言いながら現れたのは霧香センパイ。
真っ先に現れそうだった霧香センパイだけど、随分と到着が遅い。
「すまん、全員オトしてきたから時間がかかった」
あー・・・
そう言う事ですね。
確かに暴力には訴えていない。
「まっ、後の処理は梅崎先輩と三笠姉に手伝わせたけどな!」
確かあの入り口を固めている子は、バレー部とバスケ部の子達だった。
多分、霧香センパイがオトして子猫ちゃんにした上で梅崎先輩と三笠姉が回収したんだろう。
2人共、菊沢先生に夜の熱血指導を受けて改心しているらしい。
と言う事で、白木さんは見事に詰んだんだろう。
私と言うより愛華センパイを敵に回すには知恵が足りなすぎる。
「で、倉本くんは?」
「隣の部屋だけど・・・彼女達には残念な結果だと思うわ」
愛華センパイの問いに答えたのは友梨菜センパイ。
あのドローンとやらで確認したんだろう。
「もういいわっ!・・・あっちに居るのは柔道部きってのガチホモ達よっ!・・・壊れた倉本先輩でも見て絶望でもすればいいわ!」
その白木さんの問いに私達は答えない。
いや、なんかみんなでニヤニヤしてしまう。
「あー・・・可哀想に」
「ええ、可哀想に柔道部」
まあ、そうなりますよねえ・・・