学園ご意見所X 93
まあ、愛華センパイの力でも1年以上かかったと言うか、部員数が足らなかったのが原因の一つだったとか。
因みに四天王の残り3人も部員登録には入ってるようだ。
「そして私からも報告」
続いて愛華センパイだ。
「三笠遼くんが諜報部の部員になります」
「宜しくお願いします!」
みんな拍手。
少し複雑な気分だけど私も拍手。
「女子バスケ部とバレー部が安定してきたとは言え、まだ返せないとの判断と言うのが表向きなんだろ?」
「まあ、そうね」
霧香センパイの言葉に愛華センパイが答える。
愛華センパイ、ちょっとオンナの顔だ。
それが何とも綺麗だ。
「まあ、お似合いのカップルね・・・モゲロ」
「そうね、美男美女カップルって見てるだけで幸せだわ・・・シンデマエ」
何かニコニコと物騒な祝福をする梓センパイと友梨菜センパイ。
「じゃあオレは可愛いヒナを陸上部マネに貰うかな?」
「それは絶対ダメ!」
霧香センパイが私を抱きしめておっぱい触ると、愛華センパイが頬を膨らます。
何かそれが私の知っている愛華センパイらしくて嬉しくなる。
バレー部とバスケ部との問題は解決に向かいつつあるものの、私がいるクラスは空気があまり変わらない。
それは主に白木さんの存在。
白木さんは直接2つの部活の問題にはかかわりがないから当たり前で、そもそも彼女は桜庭先生のお家の商売敵の家の出。クラスの大半が白木さんサイドにいる現状では私の居場所は改善されない。
それでも、孤独ではなくなった。
「ヒナちゃん、あっち雑草取り終わったよ」
「ありがとノナちゃん、こっちももうすぐ終わる」
ノナちゃんこと野中真優ちゃん。例の問題の最中にひっそりとバスケ部をやめていて、かつそれ以前からずっと私と話してみたい、と思っていたそうだ。こっちがその気持ちを察してあげられなくて申し訳ないが、仲良くなれたのは嬉しい。それにすごく可愛い。
因みにノナちゃん、3組の水内唯ちゃんと1組で料理研の伊瀬真奈美ちゃんと中学時代からの仲良し3人組だといい、今日は4人で屋上ランチができた。これからのお昼の楽しみになりそう。
「ちょっと失礼」
花壇の雑草取りを終えた私とノナちゃんのところに一人の男性がやってきた。
半袖ワイシャツにスラックス。片手にカバンを持ってビジネスマンみたい…だけど、体格がごつい。
「はい」
「なんでしょう」
「野球部の岩崎監督って今、どこにいるかな」
「岩崎先生…とりあえず職員室、ですかね」
「ありがとう」
爽やかな笑顔だ。しかし野球部の監督さんに用事かぁ。
「何をしに来られたんでしょう?」
「小松台のエースの飯島くんについての話…あぁ、僕はこういう者なんだけど、なるべく内緒にね」
男性は私たちに名刺を見せてくれた。
『神戸バイソンズ 中部地区担当スカウト 小川佳成』
「スカウト!?」
「プロ野球の!?」
「ハハハ、今はまだ大きな声じゃ言えないけどね。小松台とは、僕も甲子園の決勝で対戦して、向こうのエースとはチームメートにもなった。飯島くんはその時の彼みたいなピッチャーだと思っているんだ」
ん?
今の話、どっかで聞いたことがあるぞ…?
それで色々思い出した私は、スカウトさんが向こうに行った後に急いで部室棟に向かったのだ。
「おっ、ヒナ・・・可愛がられに来たのか?」
「それも勿論ですが、聞きたい事があって」
向かったのは陸上部の部室。
つまり霧香センパイの所だ。
すっかり霧香センパイのメスにされてる私は、その言葉だけで濡れるが目的はそれでない。
「あのおじさんって・・・どうなるんですか?」
あのおじさん・・・
つまり私をレイプした元用務員だ。
「ん?・・・まあ、今アレの相手してるのオレだけだしなぁ・・・」
「愛華センパイは?」
「させる訳ねーだろ・・・イケメンに愛されて欲しいんだよ、愛華は」
霧香センパイの言葉に愛華センパイへの強い愛が感じる。
でも、私としては霧香センパイにも幸せになって欲しいと思う。
「アレの遺伝子ならいい子産めそうなんだが・・・どうも種無しっぽいんだよなぁ」
「それもああなった原因ですかねぇ?」
「かもしれんな」
やっぱり霧香センパイは男子に対する恋愛感情は全く無いみたいだ。
遺伝子の優劣程度にしか見ていない。