「もしかしてコートの取り合いですか？」
「いや、そうじゃないの・・・小松台は公立だけど設備は充実してるからね」

装備が充実してるのは、桜庭家が多大な寄付をしていると以前聞いた。
だから運動部はどの部活も公立の雄と言われるぐらいに強いのも恵まれた装備環境だと聞いた。

「単純に言えば男の取り合いね」
「おっ、男ぉっ？！」

余りに意外な答えに私は目を丸くしてしまったのだ。



事の発端は２０年ぐらい前らしい。
その当時弱かったバスケ部は、部の士気を高める為に男子マネージャー制を採用。
最初は当時の部長の弟が務めたらしいのだが、そこから何故か連戦連勝。
そこから毎年、男子マネージャーを勧誘して採用していたが、バスケ部は毎年好成績をおさめるようになって、いつしか男子マネージャーは王子様と呼ばれて大事にされるようになった。
それだけならめでたしめでたしなのだが、その王子様をある時、女子バレー部がベッドハンティングしたらしい。

するとバスケ部の成績が下降。
バレー部の成績は上昇と言う結果に・・・

それに怒ったバスケ部が王子様を奪還したらしいのだが、その方法と言うのが肉体を使った誘惑であったらしい。
そして取り返したバスケ部だったが、今度はバレー部が王子様を奪還。
勿論、肉体を使った誘惑だ。

こうしてバレー部とバスケ部は肉体を使った男子マネージャー争奪戦を繰り返して、勿論それは男子を性的に誘惑し合っているとの事で、双方の争いが激化しただけでなく、学校内でもこの２つのクラブの評判はすこぶる悪くなっている。

「余りにつまらなすぎて笑えるでしょ？」
「いえ、笑い話にもならないと思います」

小松台はビッチが少な目なのだが、運動部は体力がある分性におおらかなのだろうか。

「で、今回は何でしょうかね？」
「男絡みじゃないかな？・・・マネージャーの件以外にも色々男絡みがあると言う噂ね・・・あくまでも現時点では噂レベルだけど」

というわけで、調査開始。
まずは運動部のいろいろな事情を聞こうと、陸上部顧問であるミク先生のところへ。

「今の女バスとバレーは相当仲悪いのよね…双方のキャプテンが同じクラスで私が担任のクラスにいるんだけどさ、しょっちゅう喧嘩してるわ」
その話、説明すると疲れるのよね、というミク先生。

きっかけはやはり男子マネージャーをめぐる問題らしく、バスケ部のキャプテンが中学時代から可愛がっていた男の子を採用したのだが、その子がバレー部の主力選手の弟だったことがわかりバレー部が組織の力を利用して強奪計画を企てる。それがバスケ部のキャプテンの耳に入り喧嘩に発展したという。

「そのマネージャーの子って、どんな子ですか？」
「三笠くんと言う一年生の男の子ね・・・倉本くん程では無いけど、可愛らしいヤリチン君だわ」

そんな話が直ぐに出てくると言う事は、この話はかなり教師間で話題になってるのだろう。

「男子マネージャー制度は職員会議でも問題提起はされてるんだけど、男子運動部にマネージャー制度がある以上、女子だけ廃止は通らない上に・・・女子運動部の全てが廃止に反対してるからね」
「じゃあ、バスケ部とバレー部が別々にマネージャーを立てる事はできないのですか？」
「数年前から別々に立てるようにはなったのだけど、たまにこうやって揉める年があるのよ・・・頭の痛い問題だけどね」

心底疲れ果てた表情で言うミク先生。
今回の争いは部の伝統とも相まって根深い印象だ。

「顧問の先生達は？」
「どちらもそれぞれがOGだから・・・解決は無理ね」

因みに陸上部は男子が菊沢先生、女子がミク先生なので先生同士の仲の良さからそれぞれがいい関係なのだ。

ただ小松台では男女の部活が仲の良いのは少数派らしく、バスケ部やバレー部も男女で反目してたりするらしい。
しかも、殆どの運動部が公立にしては強豪なのもあって、学校側としては腫れ物扱いらしい。
元野球部のあのおじさんの件もあるけど、これは小松台の闇の部分だ。

「所で、菊沢先生とは上手くいってます？」
「ええ・・・でも、ちょっと問題が・・・」

話題を変えるとミク先生が顔を赤らめる。
それが何だか年上なのに可愛い。

「私も恵子先生も・・・このままだと近いうちに産休になりそうだわ」
「うわぁ・・・素晴らしいですねぇ」

どうやら上手くいってるようだ。
ミク先生も最近凄く綺麗になってるからそうだとは思ったけど、どうやら予想以上らしい。

「彼、私や恵子先生を完全に孕ませにきてるしね・・・両方の子供達にも彼は大人気だし、少し困っているわ」

困ってる割に嬉しそうなミク先生。
ミク先生の双子の娘ちゃんに関しては、菊沢先生とエッチしてるみたいだし尚更だろう。