学園ご意見所X 68
「嬉しいですわ」
微笑む桜庭先生の笑顔に引き込まれてそう。
そんな魅力的な笑みを浮かべた桜庭先生が言葉を続ける。
「鎌田騎手に勝利のご褒美・・・この中から、好きな子を選んでいいわ」
え・・・
なんですかそれ。
愛華センパイはちょっとニヤニヤしてるし、まさかそれが目的・・・
いや、多分偶然の積み重ねでそうなったんだろうけど、何か凄くハメられた感がある。
まぁでも、私には関係ないかなあと美女軍団を見渡す。
私がこの美女軍団の中で勝ってるのはおっぱいしかないと強く断言できる。
うん、見事におっぱい以外は勝負にすらならない気がする。
そして、頬を染めた鎌田騎手が、その人の名前を呼んだのだ。
楽しい食事会の後・・・
あのロイヤルスイートでない事にホッとする私。
とは言え、普通すら豪華・・・
ここでも一泊10万円クラスらしい。
そして、この部屋に居るのは私と鎌田騎手。
2人してお見合い状態になっている。
「まずは、お友達から宜しくおねがいします!」
「こ、こちらこそ!」
会話が超ぎこちない。
なんて言うか凄く緊張する。
「なんか西浜さんが一番近くて安心できそうで・・・」
「ああ、分かります・・・私、ド庶民ですから」
彼女もセレブでは無いとは思う。
生まれ育ちもそうだし、今の収入も多分セレブとは程遠い感じなんだろう。
「私は伯父さんの牧場で生まれ育ったんだけど、ママはアイドルにさせたかったみたいで・・・でも、私は馬に関わる仕事がしたくて・・・」
「いいなあ、したい仕事とか出来て」
一生懸命喋ろうとしてくれる鎌田騎手の好感度が私の中でぐんぐん上がる。
したい事を仕事に出来たのは素敵だと思う。
「逆にアイドルとか芸能界とかが苦手で・・・なのにいざこの世界に来ると、そっち方面の需要ばかりだし、ママもそっちに熱心になるし・・・」
彼女の嘆きは何となく理解できる。
それに芸能界の裏の部分は遥先生から聞いたり、私もAVの一件で体験したりしたから、実感があった。
「私もこのおっぱいで性的な目でしか見られないから理解できます」
「そうよねえ、本当にそうよねえ」
鎌田騎手は私の言葉にうんうんと頷いてくれる。
なんというか、最初にご指名された時は私でいいのかと思わされたが、実際2人きりで話すと共感することばかりで、親近感がわいた。
「競馬って世界に身を置くことになったから、私は高校生、って体験してないから。女子高生ってなんか憧れちゃうな」
「そんなたいしたことしてませんよ」
「それがいいのよ・・・変わらない日常、たわいの無い話、そしてたまにあるイベントや恋バナとか・・・」
自分が体験できなかったからの憧れなのかもしれない。
まあ、確かに私にとっての高校生活は既に得難いものになっている。
ただ、世間的な高校生らしいからは外れてるとは思うけど。
そして、ここからは肝心な話だ。
桜庭先生はご褒美として誰か選ばせてあげると言った訳だけど、それは鎌田騎手の性的嗜好がそっちの方向と思ったからだろうか?
「もしかして、鎌田騎手って・・・そっち方向にご興味ありの人ですか?」
「うーん、正直男の子がどうとかこうとかじゃなく、牧場育ちのせいか男女の営みが牛や馬の交尾と重なって見えちゃってね」
ああ、そう言う事なのね。
動物に囲まれて過ごしていれば交尾なんて当たり前の行為だし、慣れてしまえばエロいとか思わないんだろう。
「西浜さんは?」
「ひなたでいいですよ・・・まあ、私はどちらもOK体質なんで」
やっぱりそう言う話になると思った。
鎌田騎手の性的嗜好を見抜く辺り、桜庭先生もそっちの気があるのかもしれない。
「そっかあ・・・このおっぱいだから男の子も女の子も放っておかないよね」
「鎌田騎手もいいもの持ってるじゃないですか」
「私も奈緒美でいいよ、ひなたちゃん」
そう言って鎌田騎手はため息混じりに言葉を続ける。
「ママは私の身体は商品なんだから、常に綺麗に見せるようにしなさいって言うけど・・・色々納得いってないわ、正直」
多分彼女は純粋に騎手として勝負したいのかもしれない。
でも実力はまだまだだし、求められるのはアイドル的な部分。
確かに彼女のファンはアイドルのファンのような感じがしていた。
「でも、奈緒美さんはお母さんが好きなんですね」
何となく彼女の口調から感じたのは、愚痴を言いながらも母親が好きと言う感情・・・
何かうちの親子関係を思い出したと言うか・・・
もしかしたら彼女の性的嗜好の部分は母親絡みかもしれない。
そう、うちと同じく母娘で百合行為とかを日常でしてる気が直観的に感じてしまった。