学園ご意見所X 52
あれからお風呂上がりに木嶋社長と会ったら、出演料よと見た事がないぐらいの諭吉さんを渡された私。
呆然とする私に、ミノルさんや梢さんも、あれだけできればこれぐらい貰うのは当然と笑って言っていた。
これだけ貰えるなら、確かにこの業界に来たがる子は後を絶たないのだと改めて思った。
その後、大金を持って途方に暮れた私は、たまたま空いていた翼と潤くんを呼び出して、焼肉食べ放題・・・
カラオケ、そしてラブホ。
3人でメチャメチャセックスした。
因みにAVの話をしたら、翼は保管用、鑑賞用、展示用の3枚絶対買うと力説。
潤くんはクラスのみんなにオススメしますっ!て言ってたけど、それはやんわりと止めさせて貰った。
後は、翼と共に私服・・・
と言っても女装で現れた潤くんが可愛すぎて服を買ってあげる約束もしたけど、当然ながらそれぐらいで諭吉さんの大群は揺るぎもしなかったのだ。
「えっー、羨ましいなぁ・・・」
何が羨ましいのかはあえて聞かない。
それより重要な事は報告事だ。
「葛城凛と葛城蓮がどっちがどっちかと言う事は分かりませんでしたが・・・多分あっちの葛城蓮はAVを続けない方向かなと」
「あっ、そこに居たみたいね・・・梓からは聞いた」
梓センパイや梢さんによると、才能の無い子は企画物をいくつか出した後にスタッフとして再雇用されて落ち着く子が多いらしい。
葛城蓮もかなり粘っていた方だが、多分そうなるのだとか。
これは私達が調査したからそうなったと言う訳でなく、彼女にとっていい時期ときっかけだっただけみたいだ。
「良かったのかなぁ・・・」
「未練はかなりあるみたいなので、しばらくは辛いのかもって梓センパイが言ってましたね」
こう話す私と愛華センパイだけど、私は今愛華センパイの膝の上で向かい合っている。
私から乗ったのではなく、乗らされた訳だが、無論嫌じゃ無い。
「私のヒナちゃんが超絶可愛いって事がみんなに分かって貰えたらそれでいいわ、私は」
後で映像をちょっと見せて貰ったけど、あのアリスって子は多分私と別人だ。
それぐらい違うから、まずあれを見て私とは思われない。
「ヒナちゃんの可愛さがわかればそれでいいのよ。でもヒナちゃん本体は誰にも渡さないわ」
本体て。私は愛華センパイの何なんでしょう。
「うぅ〜天使、我が天使よ〜」
「あ、ああああうあうあう」
ギュッと抱きしめられ、ヨシヨシと頭を撫でられる。嬉しいんですが、不特定多数の誰かが入ってくるかもしれない中でこれはちょっと恥ずかしいです。
「ねえ、ヒナちゃん、今度の日曜、私につき合いなさいよ」
「え、ええ…」
日曜日、私は愛華センパイに誘われて、霧香センパイのお母さんのプロレスジムに来ていた。愛華センパイは時々ここでトレーニングをしているそうだ。
霧香センパイとそのお母さんは愛華センパイのお母さんの意を受け、門下生達を率いて、友梨奈センパイと佳奈子さんの母娘にひどい仕打ちをした奴らを全員叩きのめし、全裸でさらし者にしてやったそうだ。その上、愛華センパイのお母さんが用意した薬で全員インポにしてやったとか。
また、その時のワル共は皆、叩けばたっぷり埃の出る奴らで、当分は刑務所から出られないそうだ。愛華センパイのお母さんが警察のお偉いさんに顔が利き、手を回したことによるとか。
「ヒナちゃんも一緒にどう?」
リングの上からレオタード姿の愛華センパイが私に声を掛ける。
「愛華センパイは女子プロレスラーになるつもりですか?」
「是非やって欲しいんだけどねぇ」
そう言って現れたのがこの女子プロレス団体、フリーダムのトップにして社長。
ライトニングルカこと江越琉香さん。
つまり、霧香センパイのお母さんだ。
ルカさんは、霧香センパイのお母さんらしくカッコいい。
背が高いし筋肉凄いし、顔つきもイケメン。
霧香センパイがこの人から生まれた事に納得してしまう。
「お嬢さんをデビューさせたら、戸松の奥様に怒られるからね」
笑って言うルカさん。
仲がいいからの冗談と思うけど、愛華センパイをルカさんも大事にしてるからプロレスさせないと言うのが本当の所だろう。
「でもスパーリングぐらいいいでしょ?」
「それぐらいならね・・・所でひなたちゃん、ちょっとおいで」
リングの上の愛華センパイに声をかけたルカさんが私を事務室に呼ぶ。
事務室には誰もいなくて、応接スペースのやや傾いたソファーに私は招かれた。
「ひなたちゃんは美琴ちゃんとよく似て可愛いね」
「いえ、それ程でも・・・それと母をいつも可愛がって貰いありがとうございます」