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学園ご意見所X
官能リレー小説 - 学園物

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学園ご意見所X 137

思わずガッツポーズをする私とトッコちゃん。
ボールは小松台陣内に落ち、それを拾って攻め上がるのが小柄で褐色肌の選手である。
彼はそのまま前線にボールを蹴り込んだ。
「あの子は確か三年生の…」
トッコちゃんが何か言いかけた時、小松台のカウンターが始まった。
ボールを持った選手が一気にスピードを上げて小松台陣地内に切り込む。
するとそこに2人の長身選手が立ち塞がる。
身長差は20cm近くあるんじゃないだろうか。
しかし彼は勢いを止めることなく軽快なドリブル、まるでボールが足にくっついているかのような華麗なステップで盟成の長身ディフェンダーを交わしていった。

「凄い!」
「スピードとテクニックは小松台ナンバーワンとも言われてるね、小山内先輩は」

愛華センパイが腕組みしながらふふん、と微笑む。

「小山内ロドリゴ・ジュニオール・デ・ソウザ……えっと何だっけ」
「そ、そんな長い名前なんですか!?」
「日系ブラジル人の先輩なんだけど、多分愛華センパイの言ってるのも間違ってる気がする」

因みに本名はラモン・シウバ・ケンジ・オサナイ・ジュニオール。
ミドルネームとかない日本名的な名前を漢字で書くと小山内健治となるらしい。
と言う事で愛華センパイが言ってるのは、ほぼ姓しか会っていない。
相性はラモちゃん、後輩からはラモ先輩と呼ばれているみたいだ。
母国ではラモンって呼ばれる事が多いし、日系人だけど人種が混ざりすぎて日本人っぽい顔つきではない。

そのラモ先輩が相手を抜き去るけど、その足元にはボールは無い。
抜くのと同時にパスしていたからだ。
そしてボールはラモ先輩に釣られたゴールキーパーの逆サイド。
そこに走り込んできたのが松嶋先輩だった。

浮いたボールを綺麗にボレーシュート。
キーパーが必死に飛ぶけど、逆サイドからは届かない、
ミサイルのような弾道の球がゴールネットを揺らしたのだ。

「やったぁーっ!!」
「すごーいぃっ!!」

私達はキャアキャアと大歓声。
アシストしたラモ先輩も凄いけど、松嶋先輩も凄い。


これで2対0。
後半30分に差し掛かり、盟成サイドは一気の攻勢を仕掛けていくが、小松台は必死に守り抜く。

「向こうに焦りが出てきた感じですね」
「ウチの方も慢心はないから、2対0は危険なスコア、にはならないかな」

そろそろ梓にも覚悟を決めてもらわなきゃ、と愛華センパイがスマホを操作する。

愛華センパイがスマホを操作した瞬間に、そのラモ先輩がサイドで盟成の長身ディフェンダーと対峙していたのだが・・・
ラモ先輩が同じように交わした瞬間、長身ディフェンダーの影からもう1人のディフェンダーが現れてカットしたのだ。
そしてそのディフェンダーが大きく蹴る。
それは、小松台のぽっかり空いたスペースに落ちていった。

そこに居たのは、盟成の中心選手猿橋さん。
上手くトラップするとゴールの方を向く。
その猿橋さんに田辺くんが真っ先に行ったが、逆に猿橋さんが田辺くんを振り切ったのだ。

「強い!」

当たられても逆に弾き飛ばすようなフィジカル。
そして小松台ディフェンダーが詰めてくる前に猿橋さんが脚を振り抜く。

ゴール右隅に狙いすましたようなシュートに矢坂先輩も反応するものの、ボールはその手をすり抜けてゴールに突き刺さった。

「うわっ!凄いっ!」
「敵もさるものよね」

これで2対1。
残り時間はまだ10分ある状況で盟成が追い上げてきたのだ。

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