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学園ご意見所X
官能リレー小説 - 学園物

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学園ご意見所X 134

グランド上では声を張り上げて緒方くんをはじめチームメートに指示を出す松嶋先輩。
普段のおちゃらけていて少しチャラ男に見える姿はそこにはまったくない。
サッカーにはひたむきなところ、ますますいい男だなって思う。梓センパイも早く心を決めたらいいのにね…

「あとはお勉強をもっとしっかりやれってのが梓の不満ね」
「梓センパイ、ああ見えて学力トップですもんね」
「この前だけで、二度と譲らないつもりだけどね。ちょっと不覚だったわ」
先日のテストで愛華センパイは初めて梓センパイに負けたらしい。

元黒ギャルだろうが、家庭の事情がアレだとか、男遊びが酷かろうが、梓センパイは学校では真面目な優等生だし、それを維持する努力も怠っていない。
そこは凄い所だ。
まあ、だから松嶋先輩に対しても、もっと高いレベルを求めてるのかもしれない。

「まあ、松嶋くんも馬鹿じゃないからね」

そう愛華センパイが言った瞬間、松嶋先輩がクルリと後ろに反転してトラップ。
背中に目でもあるようなプレイだった。
そして詰めてきた盟成の選手をスッと抜く。
右に動くと見せかけて左に抜けると言う単純なものだが、強豪校の選手が簡単に引っかかって抜かれてしまう。

「凄いっ!」
「個人技にかけては松嶋先輩って、高校屈指のレベルだからね」

驚くしかできない私にトッコちゃんが説明してくれる。
だけど、流石に強豪校だけに直ぐに2人の選手が松嶋先輩に向かって行く。
それだけでなく、さっき抜かれた選手も追いかけてきたのだ。

その瞬間、松嶋先輩がボールを蹴る。
誰もいない所に蹴られたボール。

そのボールを盟成の選手が取ろうとした瞬間、物凄い勢いで来た選手に掻っ攫われる。
それは緒方くん。
松嶋先輩の蹴ったボールはパスだったのだ。

そして走り込んだ緒方くんがシュート。
だが、キーパーが上手くキャッチし、緒方くんが天を仰ぐ。

「惜しい!」
「いいリズムよね」

私の横で翼はそんな風に笑う。

「松嶋くんは個人技だけじゃなく、周りの選手を生かすようなパスもできる・・・馬鹿でないと言ったのはそう言う所」
「理解できた気がします」

愛華センパイの言葉にブンブンと頷いてしまう。
チャラい所しか見てなかった松嶋先輩。
それはそれで魅力的ではあったけど、サッカーをやってる松嶋先輩は物凄くカッコいい。

「松嶋くんに身も心もヤラれてる癖に素直にならない梓って、実に勿体ないと言うか・・・贅沢過ぎてムカつくぐらいよ」
「そーですね、そこは同感」

これだけの存在をいったい何が気に入らないのかは梓センパイにしかわからないけど、私はあの2人は本当にお似合いだと思う。だからこそ勝って欲しいんだけどなぁ。

結局前半はお互い得点が入らないで終了。
松嶋先輩は首を捻りながら自分たちのベンチに戻ってくる。
チャンスは何度も作ったが、結びつかないのが納得いかない様子だ。
こういう真面目な顔も初めて見るような気がする。

「やるわね、盟成」
「ですよね、やっぱり猿橋さんって凄いんですね」

感心したような愛華センパイと納得顔の翼。
えっと、私全く分からないんですけど・・・

「松嶋先輩がボールを持てたエリアは盟成にとって危険度の少ないエリア・・・だからボールを持ててもゴールできない訳」
「トッコちゃん、正解!・・・松嶋くんだけでなく攻撃の要の両ウイングにも仕事を殆どさせていないから余計ね」

説明してくれたトッコちゃんありがとう。
そして愛華センパイがそんなトッコちゃんを褒めると、トッコちゃんが頬を染める。
トッコちゃんも最近ますますこんな可愛い顔を見せるようになってきている。

「それをコントロールしてるのがボランチで守備の要の猿橋さんだけど・・・」

翼がそう言いながらうーんと唸る。

「盟成も攻撃に苦労してるみたいね」
「盟成も二年生中心の新チームだけど、攻撃陣が余り機能してない印象ね」

話を聞くに向こうも完璧ではないようだ。

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